バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

太陽がさんさんと照り晴れの日の多いカリフォルニアは、ブドウの生育に適した温暖な気候には事欠きません。

そんなカリフォルニアにとって高品質なワインを造るための課題はむしろ、じゅうぶん冷涼で痩せた土壌の土地を見つけることのほうです。
そうでないと温かなカリフォルニ
アでは、果実の風味がしっかり出来上がる前にブドウが早く完熟してしまうからです。

カリフォルニアでは、緯度の高さよりも太平洋岸への近さのほうが冷涼な気候を決定づける重要な要素となります。
概して言えば、カリフォルニアでは海に近いほど冷涼で、内陸に向かうほど温暖な気候となるのです。

太平洋からサンパブロ湾に流れ込む寒流の影響で、サンパブロ湾に近い南部は冷涼となります。

最南端のカーネロスは最も冷涼です。
そして北上するにつれ海の影響が弱まり、とくに夏は暑くなります。

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カリフォルニアで最も重要なワイン地域は、広域で見ると次のようなところにあります。

●ノース・コースト North Coast
・ ナパ・ヴァレー Napa Valley
・ ソノマ・カウンティ Sonoma County
・ メンドシーノ・カウンティ Mendocino County など

●セントラル・コース
ト Central Coast
・ サンタ・クルーズ・マウンテンズ Santa Cruz Mountains
・ モントレー Monterey
・ パソ・ロブレス Paso Robles  
・ サン・ルイス・オビスポ San Louis Obispo
・ サンタ・バーバラ Santa Barbara など

●シエラ・フット・ヒルズ Sierra Foothils

※カリフォルニアの地図はこちらの記事を参照

上記の中でも
カリフォルニアで最も重要なワイン地方は、全米のワイナリーの約半数が所在し、ナパやソノマなどの名産地を含むノース・コーストです。
(ナパ、ソノマなど個々の産地については今後の記事で書いていきます。)

ヨーロッパのワイン産地に比べて、カリフォルニアでは年ごとの気候の変化はそれほど大きくありません
大きな理由のひとつは、カリフォルニアではブドウの生育期間に雨がほとんど降らないからです。
(一般にヨーロッパではヘンな時期の雨が悪いヴィンテージを引き起こす大きな理由となります。)

カリフォルニアのワイン生産者は、灌漑を利用してブドウの樹にやる水をコントロールしています。
ヴィンテージによる差がカリフォルニアワインにもあるとすれば、そのいちばんの理由は干ばつによって灌漑用の水が不足することです。

そう考えると、近年の世界的な気候変化は今後、水不足の頻発等によってカリフォルニアワインにも影響をを与えていく可能性があります。
将来はカリフォルニアワインにも、以前よりもっとヴィンテージごとの変化が現れてくるかもしれませんね。

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