バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。
一般的にはローマが北イタリアと南イタリアの境界線だとされていますね。
北イタリアのほうが早くから工業化が進み産業も発展して豊かです。
ミラノ、トリノ、ヴェネツィアといった経済的に進んだ都市があり、
バローロ、バルバレスコ、キアンティ・クラシコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ソアーヴェ、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラなどの世界的によく知られたワインも豊富です。
南イタリアは主に農業地帯であり、北イタリアの都市と並ぶような主要都市と呼べるのはナポリくらいで、あとは風光明媚な観光地が点在しているようなところです。
つい近年まで、南イタリアには "重要な" ワインはほとんどありませんでした。
量でいえば、イタリア南部は北部よりも多量のワインを生産しています。
プーリア州とシチリア島はイタリア全土のなかでも特にワインの多産な地域です。
歴史的に見ると、南イタリア産のワインの多くは品質の向上が遅れ、大量に生産されたワインの大部分が北部や近隣諸国に大衆的なガブ飲みワインとしてバルク売りされていました。
しかし、ここ20年くらいの間に南イタリアのワインにも品質の革新が行われてきています。
とくにカンパーニア州とシチリア州は、今ではイタリアでも最高クラスのワインをいくつか生み出しています。
南イタリアワインの中でとくに重要な3州について概要を述べておきましょう。
●カンパーニア州 Campania
州都ナポリの少し内陸側にあるアヴェッリーノ県では、南イタリアで最も尊敬されている赤ワイン タウラージ Taurasi を造っています。

▲タウラージはとても力強い、南イタリアを代表する高級ワイン
タウラージはフルボディでタンニン豊富なスケールの大きいDOCGワインで、イタリアワイン全体で見ても偉大で熟成能力の高いワインです。
ブドウ品種はアリアニコ Aglianico です。
アリアニコの原産地はカンパーニア州の南隣にあるバジリカータ州です。
バジリカータ州でもアリアニコから造られる赤ワイン(DOCGアリアニコ・デル・ヴルトゥレ Aglianico del Vulture)がありますが、タウラージに比べると凝縮感やボディがやや控えめになります。
●プーリア州 Puglia
全体的に温暖な気候の地域で、ワインの非常に多産な産地です。
廉価でフルボディなワインが造れます。
土着品種のネグロアマーロ Negroamaro から造られるサリーチェ・サレンティーノ Salice Salentino は、ぼくの近所のスーパーでは1本1200円程度で売られています。
また、アメリカのジンファンデルと同品種のプリミティーヴォ Primitivo から造られる赤ワインもこの州らしいワインです。
トスカーナ州のアンティノーリ家もプーリア州の可能性に目をつけ、トルマレスカ Tormaresca というブランド名でワインを造っています。
●シチリア州 Sicilia
シチリアでいちばん面白いワイン産地はエトナ Etna だと思います。
シチリア島北東部にある活火山エトナ山のふもとに広がる産地です。
この産地では、冷涼気候風のエレガントで良質な赤ワインと白ワインが造られています。
赤ワインのエトナ・ロッソはネレッロ・マスカレーゼ Nerello Mascalese というこの地の土着品種から造られます。
味わいがピノ・ノワールに似ていますが、それよりも酸味が強く感じられます。
白ワインのエトナ・ビアンコはカッリカンテ Carricante という土着品種から造られます。
こちらも非常に酸味の豊富なワインになります。
このほか広く用いられている土着品種としては、赤ワインではネロ・ダヴォラ、白ワインではカタラットやインツォリアなどです。
最近では近所のスーパー等でも、コルヴォ Corvo などのブランドから日常的に楽しめるタイプのワインが1本1000円程度で販売されており、こうしたブドウ品種が使用されています。
南イタリアのワインは、日本のスーパーでもしばしば目にすることがあります。
たいてい1本千円台のお求めやすいワインです。
こんどスーパーに出かけたときは、ワイン売り場をよくチェックしてみてはいかがでしょうか。

一般的にはローマが北イタリアと南イタリアの境界線だとされていますね。
北イタリアのほうが早くから工業化が進み産業も発展して豊かです。
ミラノ、トリノ、ヴェネツィアといった経済的に進んだ都市があり、
バローロ、バルバレスコ、キアンティ・クラシコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ソアーヴェ、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラなどの世界的によく知られたワインも豊富です。
南イタリアは主に農業地帯であり、北イタリアの都市と並ぶような主要都市と呼べるのはナポリくらいで、あとは風光明媚な観光地が点在しているようなところです。
つい近年まで、南イタリアには "重要な" ワインはほとんどありませんでした。
量でいえば、イタリア南部は北部よりも多量のワインを生産しています。
プーリア州とシチリア島はイタリア全土のなかでも特にワインの多産な地域です。
歴史的に見ると、南イタリア産のワインの多くは品質の向上が遅れ、大量に生産されたワインの大部分が北部や近隣諸国に大衆的なガブ飲みワインとしてバルク売りされていました。
しかし、ここ20年くらいの間に南イタリアのワインにも品質の革新が行われてきています。
とくにカンパーニア州とシチリア州は、今ではイタリアでも最高クラスのワインをいくつか生み出しています。
南イタリアワインの中でとくに重要な3州について概要を述べておきましょう。
●カンパーニア州 Campania
州都ナポリの少し内陸側にあるアヴェッリーノ県では、南イタリアで最も尊敬されている赤ワイン タウラージ Taurasi を造っています。

▲タウラージはとても力強い、南イタリアを代表する高級ワイン
タウラージはフルボディでタンニン豊富なスケールの大きいDOCGワインで、イタリアワイン全体で見ても偉大で熟成能力の高いワインです。
ブドウ品種はアリアニコ Aglianico です。
アリアニコの原産地はカンパーニア州の南隣にあるバジリカータ州です。
バジリカータ州でもアリアニコから造られる赤ワイン(DOCGアリアニコ・デル・ヴルトゥレ Aglianico del Vulture)がありますが、タウラージに比べると凝縮感やボディがやや控えめになります。
●プーリア州 Puglia
全体的に温暖な気候の地域で、ワインの非常に多産な産地です。
廉価でフルボディなワインが造れます。
土着品種のネグロアマーロ Negroamaro から造られるサリーチェ・サレンティーノ Salice Salentino は、ぼくの近所のスーパーでは1本1200円程度で売られています。
また、アメリカのジンファンデルと同品種のプリミティーヴォ Primitivo から造られる赤ワインもこの州らしいワインです。
トスカーナ州のアンティノーリ家もプーリア州の可能性に目をつけ、トルマレスカ Tormaresca というブランド名でワインを造っています。
●シチリア州 Sicilia
シチリアでいちばん面白いワイン産地はエトナ Etna だと思います。
シチリア島北東部にある活火山エトナ山のふもとに広がる産地です。
この産地では、冷涼気候風のエレガントで良質な赤ワインと白ワインが造られています。
赤ワインのエトナ・ロッソはネレッロ・マスカレーゼ Nerello Mascalese というこの地の土着品種から造られます。
味わいがピノ・ノワールに似ていますが、それよりも酸味が強く感じられます。
白ワインのエトナ・ビアンコはカッリカンテ Carricante という土着品種から造られます。
こちらも非常に酸味の豊富なワインになります。
このほか広く用いられている土着品種としては、赤ワインではネロ・ダヴォラ、白ワインではカタラットやインツォリアなどです。
最近では近所のスーパー等でも、コルヴォ Corvo などのブランドから日常的に楽しめるタイプのワインが1本1000円程度で販売されており、こうしたブドウ品種が使用されています。
南イタリアのワインは、日本のスーパーでもしばしば目にすることがあります。
たいてい1本千円台のお求めやすいワインです。
こんどスーパーに出かけたときは、ワイン売り場をよくチェックしてみてはいかがでしょうか。
