早稲田ワインアカデミー

ワインに興味はあるけれど、ワインって何だかムズカシそう・・・
ワインを楽しむのに必ずしも知識は要りません。
でもワインの基本を知ると、ワインがもっと楽しくなります。
ブログ「早稲田ワインアカデミー」は、ワイン初心者の方にもワインをよく飲む方にも
気軽にお読みいただける、オンライン・ワイン教室です。

​バイザグラスの初拠点となる【神楽坂ワインハウス by the glass】
2018年11月にオープンしました!
神楽坂ワインハウス バイザグラス
https://www.bytheglass.jp/

ワインを飲んで感じたその味は「果実味」か「甘味」か、「酸味」か「渋味」か?~ 注意深くテイスティングを行なうほど、ワインの本質に迫っていくことができます

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインのテイスティングにまだ慣れないうちは、辛口のワインも「甘味がある」ワインのように思えてしまうときがあります。
それは、果実味と甘味を混同してしまうからです。

でも、果実味と甘味には違いがあります

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▲フランス・ロワール地方で300年以上の歴史を持つアンリ・ブルジョワが造るサンセール・ダンタンは、非常に果実味が感じられるワイン

ワインは、品種由来の明確な香りや風味があると「果実味がある」と判断されることが多いと思います。

この果実味は鼻で香りとして認識され、口で味覚として認識されるわけですが、これは以前にも述べたように
口の後ろ側にある後鼻孔で "香おって" いるのです。

一方「甘味がある」というのは、舌で認識される感覚です。
その違いを体感したければ、ためしに鼻をつまんでワインをテイスティングしてみてください。

そのワインが本当に「甘味がある」のであれば、鼻をつまんで香りがほとんど感じられなかったとしても、その甘さを舌で感じることができるはずです。

同様に、酸味と渋味(タンニン)の違いにも注意が必要です。

赤ワインには、タンニンと共に酸味があります。

そして、この両者を見分けることも、ときに難しい場合があります。
どちらも口中にキュッと引き締まるような感覚を与えるからです。

もしも今自分が感じているのがタンニンなのか酸味なのか迷いが生じてしまったときは、
そのワインを「飲み込んだ後」に、口の中にどのような感覚が残っているかに注意してみてください。

酸味であれば、口の中に唾液が分泌されてくるはずです。
タンニン、つまり渋味であれば、口の中に乾いたような感覚が残ると思います。

ワインのテイスティングは注意を払って行なうほど、ワインの本質に迫っていくことができます。
ぼくたちのワインセミナーでは、ワインの本質をわかることができるよう、正統的なテイスティングの方法をお伝えしています。

ワインを本当に知りたいという方には、必ずご満足頂ける内容ですので、ぜひ一度ご参加してみてくださいね!

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世界に羽ばたけ日本のワイン!~ 地理的表示「山梨」 GI Yamanashi の山梨甲州ワインは爽やかな柑橘系の香りをともなうキレのいいワインですね

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

今日は久々に日本のワインを飲んでみました。
わが国の代表的なブドウ品種「甲州」の白ワインです。

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外観は、淡い、グリーンがかったレモンイエロー。

柑橘系の香りがします。
レモン、かぼす、すだちなどを思わせる、爽やかな香りです。

甲州というブドウから来る豊かな酸味を感じます。

味わいとしては、「キレのいい」ワインですね。
逆に言えば、果実味の凝縮感はなく、サラリとした感じです。

若干の苦味をともない、同時に硬質の水やミネラルウォーターを飲んだときのようなミネラル感も感じます。

刺身、寿司はもちろん、生ガキ、サンマの塩焼きなど、和食全般に合うでしょうね。

厳格なワイン法が存在するヨーロッパ諸国のワインと異なり、
日本のワインは海外のブドウ原料を一部使ったワインでも「国産ワイン」と表記できてしまうなど、
ワインの原産地表示においてはずいぶん緩いところがありました。。

それでも2013年に
「山梨」がワインの地理的表示として認定され、
EUなど海外に輸出できるような法的基盤も整いつつあります。

このワインのラベルにも「GI Yamanashi」って書かれてますよね。
※GI = Geographical Indications(地理的表示)

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GI Yamanashi を名乗るには、

山梨県産ブドウを100%使用すること
山梨県内で醸造、瓶詰めしたワインであること
③「甲州」と表示する場合は、ブドウは甲州100%であること

などの定めがあります。

日本でも、2015年に初めて「日本ワイン」の定義や表示ルールが制定され(日本版ワイン法)、2018年10月から施行されます。

2020年には東京オリンピックもありますし、世界の人々に日本のワインをPRするチャンスです。
これから、ますます日本のワインが世界に羽ばたいていくといいですね!

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ワインを試飲しながら気軽にワインの基本が学べる、ワイン初心者向け講座「お気楽ワインセミナー」"ワイン入門編"を開催しました!

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

おととい4月19日(水)、東京・目黒にてお気楽ワインセミナー「ワイン入門」編を開催しました。

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今回の会場は、目黒雅叙園のすぐ向いにある建物の5階。
雅叙園を見渡せるバルコニーと広々としたカウンター
キッチンのついた、とてもきれいなスペースです。

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ぼくたちにとって第3回目、平日夜は初めての開催でした。

お仕事帰りの方が来られて、これまでの日曜昼のセミナーとはまた違ったムードの集まりとなりました。

まずは恒例の、ソムリエール犬飼雅恵によるシャンパーニュ抜栓
そしてシャンパーニュで乾杯!

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ぼくたちのワイン講座は毎回、美味しいワインをご用意していますが、
飲んで楽しむだけでなく、ゲストの皆さんと一緒にしっかりとテイスティングを行います。

実際にテイスティング動作の基本をマスターして、
ワインの外観、香り、味わいを体感しながらワインを学習していきます。

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ソムリエール犬飼が、ワインの楽しさ、ワインに対する思いを熱く語ります。
おのずと表情も真剣になります。

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ワインを「心・体・技」で楽しんでいただけるよう、
ゲストにはワイン抜栓の技術も実演伝授しています。

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カリキュラム終了後の質問や意見交換も活発に行なわれ、2時間たっぷり、和気あいあいと盛り上がりました!

お気楽ワイン講座「ワイン入門」編は毎月開催します。
5月は13日の土曜日です。
ワインに興味のある方、ワイン初心者の方、お気軽にご参加ください!

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好きなワインのことを人に伝えることができますか?~ ワインコトバがあなたのワインライフを充実させる

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインのテイスティングについてお話を進めてきました。

「ワインのテイスティングができる」ことと、単に「ワインをいつも飲んでいる」ことの間には明確な違いがあるということを、お分かりいただけたのではないでしょうか。

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 ▲ソムリエ試験のテイスティング用語選択用紙


さて、ここでテイスティングの最後の難関についてお話します。

それは、テイスティングして感じたワインの味わいをコトバに置き換えることです。

たとえワインのプロでなくても、あなたがこれから充実したワインワイフを送っていく上で、これは非常に重要なことです。

口の中にあるワインが「好き」か「好きじゃない」かを判断するのに頭を悩ます必要はないでしょう。
しかし、興味のあるワインをすべて試飲できるわけではないので、
ワインを買うときは普通、実際に味を知る前に買わざるをえないのが基本です。

ですから、あなたが今後一生、同じワインだけを飲み続けたいのでない限り、

どのようなワインが好きなのかが自分でわかっていて、
それを他の人に伝えることができないといけません。

そうでないと、ワインショップの店員さんやレストランのソムリエが、
あなたを的確なワインに導いていくことができないからです。

そのためには2つのハードルがあります。

1.あなたが好きなワインを言い表す表現を見つけること
2.その表現を他の人に理解してもらうこと


残念ながら、1ができても2ができない人が多いです。

世の中には自分だけしかわからないような主観的な表現が氾濫し、
ときにはポエムのようなわかりにくい表現が、自己満足的に使われているのが実情です。

以前にも述べたように、ワインを客観的に捉えて、そのワインのことを人に伝えることができるように言語に置き換えるのがテイスティングです。

ですから、ワインのテイスティングは芸術というよりも客観的でロジカルなものだといえます。

【参考記事】
ワインのテイスティングは芸術ではなく、ワインの特徴を分析的に捉えて言葉に置き換えるロジカルな作業なのです


みんなが同じワインコトバを話せば、当然コミュニケーションはうまくいくはずです。

ワインコトバは、ある程度ワインを勉強した人やワインに携わっている人同士であれば、お互いに誤解なく伝わるような共通の語彙であるべきだと思います。

たとえば、ワイン経験が同等のAさんとBさんがいて、
Bさんが飲んだことのないワインをAさんが飲んで、
Aさんが「こんなワインでしたよ」と伝えたら、
Bさんはそのワインがどんなワインだったのか大体わかる

・・・ワインコトバの役割は本来そのようなものだと思います。


バイザグラスのワイン講座のワイン入門編では、2時間の受講で

①自分の好みのワインがわかるようになる
②その理由が言えるようになる


という2つを目標にして進めています。

実際、ワイン初心者の方でも、2時間後には上記の目標を達成しています。
これからワインのことを勉強しようと考えている方は、ぜひ参加してみてくださいね。

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ワインの色気はテイストよりフェロモンで?~ ワインの風味は、じつは舌での味覚よりも鼻の奥を通る香気から感じられるものなのです

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインテイスティングについて、口でワインの味わいをみるステップの続きです。

口の中でワインをかき回すことで、じつは時間稼ぎもしています。
人間の脳は、舌が感じている味覚がどんなものかを判断するのに、数秒間の時間が必要だからです。

ワインが持つ味覚要素の中では、甘味が最初に脳で知覚されます。

それは昨日の記事で述べたように、甘味を感じ取る触感部位の多くは舌の前方にあり、ワインが真っ先に接触するからです。

甘味のあとに、酸味(いわゆる酸っぱい感覚)、苦味が知覚されていきます。
またワインを口の中でかき回すと歯茎や口の内壁(頬の裏側)に触れ、タンニンも感じ取ります。

【関連記事】
テイスティングの儀式では、 ワインを目で見て、鼻で香りを嗅いだら、ようやく口で味わうことが許されます


脳は、甘味・酸味・苦味・渋味の相対的なバランスを測りつつ、
口の中にあるワインは重いのか、軽いのか、口当たりはまろやかなのか、ざらついているのか等々も同時に考えているのです。

そして、結論としてそのワインはどのような風味や味わいを持つのか・・・
ラズベリーなのか、プラムなのか、はたまたチョコレートなのか・・・
という思考につながっていくわけです。

ところで、実はワインの風味は口の中で気化した香気によるものです。

一般に食品の香りには、

・食品を直接、鼻で嗅いだときに感じられる香り
・飲食中にのどから鼻を抜けて感じられる香り

の2つがあり、
ワインの風味は後者、つまり口の奥から鼻に抜ける香気の刺激によって感じられるものなのです。

ワインを含んだ口に空気を吸い込むことで、グラスの中でワインを回したときと同様にワインの香気が気化し、その空気が口の後ろ側にある後鼻孔を通ります。
その刺激を脳が知覚するわけですね。

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ですから、正確に言うならば、
ワインの風味を脳で言葉に置き換えていく作業は、舌での味覚の刺激から行なうというよりも、口中から鼻の奥へ抜ける香り(香気)から得られる部分が大きいのです。


さて、こうした一連のワケのわからぬ(笑)作業を経て、ようやく結論に達する時間となります。

「このワインは好きか?」

ここでの答えは、たいてい「イエス」か「ノー」ということになるでしょうが、

「うーん・・・まだ判断できない。もう一度テイスティングさせて!」

と言って、わざわざこの面倒な儀式を繰り返そうとするようなら、
あなたは相当なワインマニアの素質を持っているといえるでしょう。

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テイスティングの儀式では、 ワインを目で見て、鼻で香りを嗅いだら、ようやく口で味わうことが許されます

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインのテイスティングでは目・鼻・口を使います。
前回まで3回にわたって「ワインの香りを嗅ぐ」について書きました。

【関連記事】
身の回りの香りを嗅ぐことを習慣化すると、ワインの香りを嗅ぎ取るチカラが高まります
火打石、猫のオシッコ、馬小屋・・・ワインの香りは摩訶不思議!
ワインの香りを嗅ぐ「儀式」はテイスティングで最も楽しい部分です


テイスティングの儀式では、
ワインを目で見て、鼻で香りを嗅いだら、ようやく口で味わうことが許されます。

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この段階では、大人の男女がそろって座ってイカメシイ顔つきをして、ワインで口の中をくちゅくちゅしたりします。
まるで、ワインでうがいでもしているみたいに。。

最後の一口のワインに全意識を集中している人に話しかけたりしたら、きっと一生の敵を作ることになるでしょう(笑)

さて、口でワインの味をみる儀式は、次のような手順で行います。

1.一口分のワインを口に含む

2.口の中にワインを留め、唇をすぼめ、空気を吸い込む
  (このときむせたり口からこぼしたりしないように十分注意してください!)

3.吸い込んだ息でヒュッヒュッと音を立てるような感じで、ワインを噛むようにして口の中で動かす

4.ワインを飲み込む

上記1~4で数秒の動作です。
特に集中している場合は長めになります。
長めになるときはたいてい、どのように表現しようか、頭の中で言葉を探しているときですね。

人間の舌は、生理学的にいくつかの基本的な味覚を感じ取ることができます。
甘味、酸味、塩味、苦味、旨味ですね。

これらのうち、甘味、酸味、苦味は一般的にワインから感じ取れる味覚です。

舌が味覚を感じる場所(触感部位)は次のとおりです。
  • 甘味は舌の先端で
  • 塩味は舌の前のほうの中央で
  • 酸味は舌の奥のほうの両わきで
  • 苦味は舌の奥のほうの中央で
ちなみにタンニンは主に歯茎で感じられます。

口に含んだワインを口の中全体に動かすことで、
ワインが舌のすべての触感部位に接することができ、
ワインが持っている味わい要素をもらさず感じ取ることができるのです。

特定の味覚に対する感受性が人によって異なるのは当然です。

そうだとしても、複数のワインを比較しながらテイスティングしてみれば、
どちらのワインがより酸味が強いか、より甘味を感じるかといった部分では、おおむね意見が一致します。

はじめのうちは

「ワインAよりワインBのほうが酸味が高い」

というように相対的に判別できるレベルですが、

このように比較試飲を繰り返してワインの経験値が積み重なってくると、だんだん

「ワインBは、ワイン全体の中でも酸味が高いほうだ」

というように絶対的な判断ができるようになってきます。

バイザグラスのワイン講座では、そのように複数のワインを比較テイスティングすることによって、品種や産地の異なるワインそれぞれの特徴を体感していただけます。
ぜひ参加してみてくださいね!

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何でも嗅いでみよう!~ 土、草、花、皮革、人形、鉛筆、金属・・・身の回りの香りを嗅ぐことを習慣化すると、ワインの香りを嗅ぎ取るチカラが高まります

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインのテイスティングではワインの香りを嗅ぎ取りますが、
「臭い(におい)を嗅ぐ」という言い方はあまりしません。

ワインでは「臭い」という言葉よりも「香り」とか「アロマ」という言葉を使います。
「におい」という語を使うのであれば「匂い」という漢字を当てます。

英語でも、ワインの世界では smell よりは nose とか aroma という語のほうが好まれるようです。

臭い(におい)や smell は快・不快のどちらのニュアンスも含み、一般に悪いほうの意味で使われることも多いからです。

ワイン香りを取るときは、喜ばしい香りを当然に期待しますし、
心地よい香りがワインの楽しみの重要な要素だからですね。

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 ▲ワインの「土」の香りの感覚をつかむトレーニング

さて、今回はそんなステキでデリケートなワインの香りを、より的確に嗅ぎとるためのヒントをお話しましょう。

次の5つのテクニックを試してみれば、これまで以上にいろいろな香りを、ひとつのワインから嗅ぎ取れるようになると思います。

1.大胆にやる

香りを嗅ぎ取る「儀式」を恥ずかしがってはいけません。
人前でも堂々とやってください。
グラスをまわして、ワイングラスに鼻をグンっ!と突っ込みましょう

2.強いコロンや香水をつけない

ワインの香りを捉えにくくなるので、これはご法度です。
ワインスクールでも授業の日はつけてこないよう注意されることがあります。

3.強い食べ物の匂いがする場所ではしない

あなたがワインから感じたスパイシーな香りは、台所で作っているカレーのにおいかも知れませんよ。。(笑)

4.香りを嗅ぐことを習慣化する

料理をするなら、使用する食材や調味料すべての香りを嗅いでください。
スーパーで買ってきた果物や野菜はもちろん、何かを食べるときは、つねに香りを嗅いでみましょう。
ちなみにぼくは、ウチでも外でも、パンを食べるときは必ず香りを嗅ぐ習慣があります。

食べ物だけでなく、皮革、土、草、花、動物、人形、ダンボール、薬箱、鉛筆、インク、石ころ、金属、靴磨き材、舗装したての道路・・・あらゆる身の回りのものの香りを嗅いでみましょう。

自分の中に香りのデータベースを蓄積していけば、必要なときに記憶から引き出せるようになります。

5.香りの嗅ぎ方を何通りか試してみる

グラスに鼻を入れた最初の一瞬だけで感じる香りをとる、という人もいます。
反対に、ワインのかすかな匂いまでも逃すまいと精一杯、時間をかけて深く吸い込む人もいます。
どちらも試してみましょう。

デリケートな香りを認識するには、鼻から吸い込むとき口をすこしだけ開けておくとよい、と教えてくれた人もいました。

片方の鼻の穴をふさいでもう片方だけで嗅ぐ方法もあるそうです。
(外でやったら周囲からヘンな人だと思われそうですが。。)


ワインの香りを嗅ぎ取るということに関しては、多くの人が

「そんなにたくさんの香りを嗅ぎ取ることができない」
「自分は鼻が鈍いのではないか」

と心配になるようです。

ぼく自身も、そんなに鼻が鋭いほうではありません。。

どちらかというと、ある香りを「嗅ぎ取った」というよりは、
ワインの経験値を重ねていくうちにいくつかの香りのパターンに気づき、

後になって「あぁ、あのワインにもあったこの香りかぁ」みたいにして
その香りを「認識できるようになった」というほうが実態に近いですね。

ですから、ワインの香りを嗅ぎ取るには、才能やセンスよりも練習と経験を重ねることが上達につながると思います。
日常生活の中で身の回りの香りに対する関心を高め、これまで以上に香りを意識しながらワインに親しんでいきましょう!

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火打石、猫のオシッコ、馬小屋・・・ワインの香りは摩訶不思議! ~ 困ったブショネも一度はラッキー?

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

前回お話したように、ワインの香りを嗅ぐのはワインテイスティングの中で一番楽しい部分です。
グラスをまわして、ワインの香りをとる「儀式」・・・やっぱり華やかでステキな香りを期待しますよね。

でも、もしそれが自分の好きじゃない香りだったらどうしますか?

ここで少し、ワインマニアが使っている言葉に耳を傾けてみましょう。

ペトロール(石油)、石灰、火打石マッチの燃えカス青くさいアスパラガス猫のオシッコ馬小屋  ・・・

なんだそりゃー?!

・・・って思いますよね。。

そのような香りに、年がら年中 出合うわけではありません。
でもワインをよく飲んでいれば、たまには出合う香りです。

こうした香りは、健全なワインにも現れます。
特定のブドウ品種や特定の産地のワインに現れる特徴的な香りだと理解しておけばよいでしょう。

たとえあなたがそのような香りを好きになれなかったとしても、
ワイン好きの中には、こういった独特の香りに喜びを見出す人が結構います。

じつはぼくも、そんな人間の一人です。

リースリングが放つペトロール香や、一部のシャブリに感じられる火打石のような、擦ったマッチみたいな香りにも快感を覚えます。

南イタリアやスペインの馬小屋臭ただよう田舎っぽい赤ワインにも、心の底からワクワクします(笑)

慣れてしまえば、その種の香りはむしろワインにスリルやアクセントを与えるものだということに気づくかもしれません。

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 ▲シャブリと火打石を並べて香りのトレーニング


ところで、ワインが発する香りの中には、誰もが不快と感じるイヤなものもあります。

もっとも典型的な不快臭はコルク臭で、ブショネと呼びます。
ブショネは、カビ臭い湿ったダンボールのような臭いです。

ブショネは、コルクの傷み・劣化が原因で起こります。

コルク材の製造時に残留した漂白剤や殺虫剤の塩素を、コルクに繁殖したカビが、TCA(トリクロロアニゾール)という化学物質に変えてしまうために生じるものです。

コルクの劣化はコルク自体の品質の悪さのほか、ワイン醸造・熟成の段階、保管状態の悪さ、輸送環境の悪さが引き金になって起こることもあると考えられています。

そうして劣化したコルクに発生した悪臭が、瓶内でワイン自体に移ってしまいます。
そして、そのワインをテイスティングすると、香りも味わいもブショネそのものとなるのです。

ブショネのワインを飲んでも体に害はないのですが、
鼻で感じたイヤな香りは口に含んでも、そのままのイヤな風味がします。
そのワイン本来の香りや味わいが消えてしまって楽しめませんので、欠陥ワインとして扱われます。

ブショネは、ワインを飲むまでもなく、抜いたコルクを嗅ぐとチェックできます
コルクの、ワインと接触していた面に現れます。
ひどいブショネの場合は、抜栓した瞬間に臭いでわかります。

レストランでワインを抜栓したとき、ソムリエがコルクの臭いをチェックしているのを見たことがあるのではないでしょうか。
あれは、ワインがブショネじゃないかをチェックしているのですね。

レストランでブショネに当たった場合は正常なワインと交換してもらえます。

レストランでワインをボトルで注文すると、少量だけグラスに注いで確認を求められますよね。
あのホストテイスティングもワインが劣化していないかを確認するための儀式なのです。

ですから、お店でホストテイスティングを求められたら断ったりしないで、ぜひやりましょう!
不良ワインだったら、ソムリエが確認のうえ交換してくれるはずです。

もちろん、「思っていたのと味が違う」とか「味が好みじゃない」といった理由では取り換えてくれないですからね(笑)

ブショネはしょっちゅう起こるものではありませんが、一定割合で見られます。
ワインバーで毎日何本もワインを抜栓していると、体感的には100本に1~2本くらいの率で遭遇します。

ブショネのワインに当たってしまったら不運ですが、一度は経験しておくのもよいかもしれません。
ブショネの臭い
知らないと、気づかずに飲み続けるハメになるかも知れませんからね。。

ブショネは経験したことがないとわかりづらいですが、一度経験すれば必ず覚える臭いだと思います。

初めてブショネのワインに当たったら、
貴重な経験値を得るラッキーな機会と考えて、丁重にテイスティングの儀式を行いましょう(笑)

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野生に帰ったあなたを誰も止めることはできない!~ ワインの香りを嗅ぐ「儀式」はテイスティングで最も楽しい部分です

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインのテイスティングでは、目・鼻・口を使います。
目で
ワインの外観を観察したら、次にワインテイスティングの中で一番楽しい部分に入ります!

それは、ワインの香りを嗅ぐことです。
今回は自分を
犬だと思ってください(笑)

【関連記事】
ワインってやつはツンデレだ! ひとつのワインにはいくつもの顔があります ~ ワインテイスティングの基本ルールは「ゆっくりと」「注意深く」
ワインは目で見るだけでも美味しい!~ ワインの外観を味わうことがテイスティングの最初のステップです


嗅覚をフル活用しましょう!
自分の感性やイマジネーションを目いっぱい(鼻いっぱい?)野生的にしてください。

誰もあなたの感性を否定することはできません。
あなたがそのワインを「野いちごのような香りがする」と言えば、
そんな香りはしない!なんて一体誰が証明できますか?

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▲フランス・ローヌ地方の「コート・ロティ」は多くの人が黒コショウの香りを感じるが、もちろんコショウが入っているわけではない


ワインの香りをとる儀式とその作法について説明する前に、次の2つを保証しておきますね。
  1.  あなたが飲むワイン全てに対して、いちいちこの儀式をする必要はありません
  2.  この儀式をしているあなたを見て滑稽だと思う人は、少なくともワイン好きの中にはいません(ただし、その他一般の人々については保証の限りではありません)

ワインの香りを最大限に嗅ぎ取るためには、ワイングラスを持ち上げずテーブルに置いたままで、3~4回まわします。
これをスワリングといいます。

スワリングするときは次の3点に気をつけましょう。

●ワインの量はグラスの半分以下にすること
・・・グラスの半分以上入っているときにスワリングすると、グラスの上からこぼれたり跳ね上がったりします

●グラスを反時計回りの方向にまわすこと(右利きの場合)
・・・時計回りにまわすと、遠心力で目の前に座っている人にかかってしまうおそれがあります

●何度も繰り返しスワリングしないこと
・・・スワリングしすぎると、ワインの香りが飛んで行って弱くなってしまいます

スワリングすることによって、回転したワインがグラスの内側で空気と混ざり合います。
そしたら、すばやくグラスを自分の鼻に持ってきます。
グラス内の空間に自分の鼻を突っ込み、ワインの香りを嗅ぎます。

そして自由に連想してみてください。

その香りは、
  • 果実っぽいですか? 草花っぽいですか? 木っぽいですか? 土っぽいですか? 鉄っぽいですか?
  • フレッシュな香りですか? 焼いたような香りですか? 煮つめたような香りですか?
  • ハーブっぽいですか? スパイスっぽいですか? コーヒーっぽいですか? 紅茶っぽいですか? 枯葉っぽいですか?
  • 軽やかな香りですか? 凝縮感のある香りですか?
  ・・・ ・・・

スワリングによってワインに含まれる芳香成分が気化し、香りがよく取れるようになります。
ワインにはたくさんの芳香成分が含まれているので、あなたがどのような香りを感じ取ったとしても、それは単なるでっち上げや想像の産物だとはいえないのです。

鼻はすぐに疲労して香りを感じにくくなります。
でもすこし休ませれば嗅覚はすぐに回復します。
鼻が疲れてきたなと思ったら、1分くらい間を置いてから再度トライしてください。

ちなみに、ぼくは嗅覚が鈍ったなぁと感じたら、自分の手の甲のにおいを嗅いだりしてリセットします。
嗅覚回復の方法は人によって違うようですので、あなたも自分流の方法を開発してみましょう。

ワインの香りを的確にとる技術を磨くのに一番良い方法は、
他の人と一緒にやってみることです。

他の人がどんな香りを感じたかコメントを聞いてみて、自分のコメントと共通する部分を見つけていきます。
もちろん完全に一致することはありませんが、
お互いのワイン経験値が上がればあがるほど一致する部分が多くなってくるはずです。

ぼくたちのお気楽ワインセミナーでは、参加者の皆さんと一緒にテイスティングを行ないますので、他の人の感じ方を聞いて自分の感じ方と比べたり参考にしたりすることができます。
ぜひ気軽に参加してみてくださいね!

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ワインは目で見るだけでも美味しい!~ ワインの外観を味わうことがテイスティングの最初のステップです

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインのテイスティングの第一歩は、
グラスの中のワインを眺めてみること
です。

そのとき、その液体がどのくらい輝いているかを光の反射の具合を見ながらチェックします。

赤ワインなら、どのくらい赤みがあるのか・・・たとえばもしそれを白いテーブルクロスにこぼしたら、洗濯してもずっと落ちないくらいだろうか?・・・などと想像してみましょう。

ワインの外観を観察するためには、
まずグラスを自分の体の前方に傾けて、
白いテーブルクロスや白い紙などの上で、ワインの色調を見ます。


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 ▲白い紙の上でグラスを前に傾けてワインの外観を見る

このように、グラスに入ったワインを見るときは、
白いものを背景にすること
が重要です。

色の着いたものを背景にしてワインを見ると、ワインの色が歪曲されて目に見えてしまうからです。

バイザグラスのワインセミナーでは、下図のようなテイスティング台紙を用意しています。
白黒印刷かつ中央部分を空白にしているのは、その上でグラスを傾けて色調を見るためです。

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 ▲バイザグラスのワイン講座で使用するテイスティング台紙

  • グラスを傾けたら、まず、その色が何色かを見ます。
  • そして、その色が濃いか、淡いか(濃淡)をチェックします。
  • また、その色調が液面の中心から外に向かって(つまりグラスの壁に向かって)ほぼ一定か、あるいはグラディエーションしているかも見てください。
  • あと、その液体の見た目が澄んでいるか、くすんでいるかも見てください
ほとんどのワインは澄んでいるはずですが、一部のろ過をしていないワイン(無ろ過ワイン)はやや濁って、くすんで見えるものがあります。

【関連記事】
白ワインは、さっさとブドウの実をつぶして皮や種を捨ててしまい、 ブドウ果汁のみを発酵させて造ります(8.ろ過の説明あり)



何色か、というのは、簡単にいえば「白ワイン」か「赤ワイン」か「ロゼワイン」かということです。

濃淡に関しては、おおまかに

「濃い」
「中程度」
「淡い」

と表現します。

色が「薄い」というのはNGワード(けなし言葉)ですので、使わないように注意してください。
「淡い」と言いましょう。

色調については、
白ワインでしたら、だいたい

「グリーンがかった(レモン)イエロー」
「黄金(ゴールド)がかったイエロー」
「黄金色」


のどれかです。
なお熟成の進んだ白ワインは「琥珀色」になります。

赤ワインでしたら、大きく分けて

「ルビー」(赤~紫が中心)か
「ガーネット」(黒っぽい~褐色が中心)

の2つです。
熟成の進んだ赤ワインはオレンジ色や褐色を帯びてきます。

最初は慣れないかも知れませんが、上記を繰り返し行なっていれば、そのうち様々なパターンが掴めるようになってきます。

たとえば、
「若いワインほど色が濃い傾向がある」
「複数のブドウ品種をブレンドしたワインは液面の色調にグラディエーションが現れる傾向がある」
などです。

グラスを3~4回まわすことをスワリングといい、主にワインの香りをとるときに行ないますが、
外観を見ているときも軽くスワリングしてみて、ワインの液体がグラスの内壁を涙のように流れ落ちていく様子を観察してみても良いでしょう。

この「涙」がとてもゆっくりと流れ落ちるようなワインもあります。
かつては、そのようなワインはリッチで高品質なワインだといわれていました。

現在ではもう少しロジカルに解釈されています。
そのような「涙」がとてもゆっくりと流れ落ちるワインのことを「粘性が高い」と表現します。

ワインのエキス分(主に果実味)の凝縮度から生じる表面張力の強さや、アルコールの揮発性(アルコール度数の高さ)に関係する、複合的な現象です。
物理や化学の専門家でしたら、もっと精緻な説明の仕方があるのでしょうが、ワインをテイスティングするうえでは上記程度の認識で十分です。

いかがでしたか?
ワインはまず目で楽しむことが大事なのですね。
今日からワインの楽しみ方がひとつ増えましたね!

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ワインってやつはツンデレだ! ひとつのワインにはいくつもの顔があります ~ ワインテイスティングの基本ルールは「ゆっくりと」「注意深く」

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインのテイスティングって、なんだかちょっと難しそうですよね。

「何か気の利いた表現をしなくてはいけないんじゃないか?」
「マトはずれなことを言って、笑われたりバカにされたりするのでは?」

・・・などといった心配をする人も多いみたいです。

たしかに世の中には、いちいち小難しくワインを捉えようとする、自称「ワイン通」が存在します。
でも、そういう態度こそがワインをわかりにくいものにしてしまっているのです。

そもそも、ものを食べたり飲んだりする行為は、ぼくらは毎日やっているわけです。
パンを食べたりコーヒーを飲んだりできる人なら、誰でもワインをテイスティングすることはできるのです。

ワインのテイスティングに使うのは、目、鼻、口、そして脳です。
それらがあれば、ワインを適切にテイスティングするには十分です。

その意味では、あなたは、たとえばアラビア語を話すのに必要な能力だって持っているわけですよね。

しかし、たんに何かをする「能力がある」ことと、
何かをする「方法を知っている」ことやその方法を「実際に活用できる」ことには、大きな違いがあります。

そして、ワインのテイスティングにも、たしかに一定の決まりごとやルールがあります。

今回からはワインのテイスティングを実際にする方法についてお話していきましょう。

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 ▲テイスティングでワインの香りをとる

【関連記事】
ワインのテイスティングは芸術ではなく、ワインの特徴を分析的に捉えて言葉に置き換えるロジカルな作業なのです


あなたはきっと毎日、何らかの飲み物を飲んでいると思います。
その飲み物を口に入れて、味を感じて、ゴクンと飲んでいるはずです。

ただ、ワインの場合は、「飲む」と「テイスティングする」は同じ意味ではありません。

ワインは、ほかの飲み物よりは、ちょっぴり複雑なのです。
ワインという飲み物の中には、もっといろいろな要素が含まれているからです。

たとえば、ワインはいくつかの異なった、しかも微かな風味を同時に併せ持っています。

一口分の量のワインの中には、そうした複数の要素がすべて一緒に含まれているのです。
そして、それらが同時に、あるいは順を追って、嗅覚や味覚に刺激を与えてきます。
たとえばあるワインを口に含むと、口当たりのまろやかさとシャープさが同時に現れたりもします。

もしも、ジュースやコーラを飲むようにワインをゴクゴク飲んでしまったら、
せっかくワインが持っている様々な楽しい部分の多くを放棄していることになります。

しかし、きちんとワインをテイスティングすれば、
そのワインからいろいろな楽しみや喜びを感じ取ることができるでしょう。

ですから、ここで
ワインテイスティングの2つの基本ルール

を定めておきます。

1.ゆっくりと
2.注意深く


この2つです。

ワインをテイスティングすることは、言い換えれば、
ワインのもつ複数の要素を、システマチックに(順序だてて)感じ取る作業をすることです。

具体的には、ワインのテイスティングは3つのステップで行ないます。
はじめの2ステップは口をまったく使いません。

ステップ1: ワインを見る
   ↓
ステップ2: 香りをかぐ
   ↓
ステップ3: 口に含む


この3ステップです。

詳しくは次回以降、書いていこうと思います。

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シャンパーニュは最も有名なスパークリングワイン ~ シャンパーニュのありがたみの裏にはブランド保護に対するフランス人の弛まぬ努力があった

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

昨日に続き、今日もスパークリングワインとシャンパーニュのお話です。

ヨーロッパでもアメリカでも、「スパークリングワイン」が発泡性ワインの公式な呼び方です。

その中で「シャンパーニュ」は最も有名なスパークリングワインということになります。
最も知られているワインだと言っても過言ではないかもしれません。

シャンパーニュは、定められたブドウ品種のみを使って、定められた方法を用いて、シャンパーニュ地方というフランスの定められた地域のみで造られる、特別なスパークリングワインなのです。

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 ▲シャンパーニュの中でも最も有名な「ドン・ペリニョン」

シャンパーニュがあまりにも特別で有名な名前であるため、
一般消費者がスパークリングワインを何でもシャンパンと呼んでしまうばかりか、
他の地域の生産者までが、自分たちの製品にシャンパーニュという名前を意図的に使ったりします。

そのため、「シャンパーニュ」という言葉があたかもスパークリングワインというもの全体を指すかのような誤解が広く生じてしまっています。

これは、フランスのシャンパーニュ地方の人たちにとっては悩みの種(・・・というか怒りの対象)となっています。

たとえばアメリカでは、「シャブリ」「シャンパーニュ」などワイン産地名として広く認知されている呼称が安ワインに使用されているケースがあります。

実はつい近年までアメリカの生産者は、人工的に炭酸を付加したものでない限り、あらゆるスパークリングワインを champagne と呼ぶことが合法的に許されていたのです。

E.U.はかねてからこのことを問題視しており、改善を求めて2006年にアメリカと通商協定を結びました。
しかしアメリカ側の根強い抵抗もあって、
champagne という名称の使用については多少の改善は見られるものの、抜本的な解決には至っていません。

ちなみに日本の「シャンメリー」という飲料も、かつては「ソフトシャンパン」という名称で売られていましたが、フランスから指摘を受けて商標が変更されたそうです。

フランス側にとっては、シャンパーニュという呼称の使用をシャンパーニュ地方のワインのみに限定することは重大な関心事となっています。

E.U.域外から来たスパークリングワインのラベルにたった1語 champagne と書かれているだけでも、E.U.内に輸入することはできません。 

E.U.内のフランス以外の国々に対しても、スパークリングワインをシャンパーニュと呼ぶことはおろか、シャンパーニュを想起させる文言を使うことさえ禁じています。
たとえば、ラベルに「このワインはシャンパーニュ製法で造られています」と印字するのもダメです。

これほどまでにフランス人は、シャンパーニュというものに対して真剣なのです。

ただ、ぼくたちシャンパーニュ好きの消費者にしてみれば、こうしたフランス人の姿勢はむしろ歓迎すべきことかもしれません。
ラベルにシャンパーニュと書かれた、ただのスパークリングワインを手にしてしまうリスクが格段に減るわけですからね。

このような話を聞くと、シャンパーニュに対する敬意やありがたみも増してきますね
・・・なんて言っているぼくは、もしかしたらシャンパーニュ生産者やフランス政府のマーケティング戦略にまんまと乗せられているだけだったりして?(笑)

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あぁ今夜シャンパーニュを飲む理由がほしいっ!~ シャンパーニュはフランスのシャンパーニュ地方だけで造られる特別なスパークリングワインです

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

突然ですが、あなたのこれからの人生でたった1種類のワインしか飲めないとしたら、どんなワインを選びますか?

ただ美味しいというだけでなく、これから一生、毎日それしか飲めなくても飽きないワインです。

多くの人がシャンパーニュ!と答えるのではないでしょうか。

シャンパーニュはそれくらい世界中で皆に愛され、リスペクトされているワインです。

とはいえ、考えてみると、冒頭の質問に対してシャンパーニュ!と答えるのも、少々おかしな感じもします。

だって、そんなにシャンパーニュが好きだというわりには、
ぼくらはふつう、それほど日常的にシャンパーニュを飲まないですよね?

来客をもてなしたり、誕生日をお祝いしたり、記念のパーティだったり・・・
何か特別なハレの場でシャンパーニュを飲むことが多いのではないでしょうか。

もちろん、シャンパーニュを飲むのに特別な理由が必要なわけではありませんが、
日常的に毎晩飲むタイプのワインではないことは確かですね。

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シャンパーニュ Champagne はフランス語での呼び方で、日本ではシャンパンとも呼ばれます。
英語ではシャンペーンもしくはシャンペインと発音されます。


ところでシャンパーニュはスパークリングワインの一種です。

スパークリングワインとは、二酸化炭素の泡(= 炭酸ガス)を含むワイン、
つまり発泡性ワインのことです。

白ワインのことを「白」、赤ワインのことを「赤」と略して呼ぶのと同様に、
ワイン飲みの間では、スパークリングワインのことを「泡」と呼んだりします。

炭酸ガスはワイン造りの際、アルコール発酵の結果として自然に生じる副産物です。

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通常のワイン造りでは、その炭酸ガスは空中に逃げていきますが、
その炭酸ガスを逃がさずに瓶に閉じ込めたものがスパークリングワインです。

【関連記事】
白ワインは、ブドウ果汁のみを発酵させて造ります


ワインを生産している国はみな、スパークリングワインも造っています。

しかし、

「スパークリングワイン」イコール「シャンパーニュ」ではない

ので注意してください。

スパークリングワインとは発泡性のワイン全般のことを指します。
ちなみにイタリアでは、発泡性ワイン全般のことを「スプマンテ」と呼びます。

そして、スパークリングワインのうち

フランスのシャンパーニュ地方で造られるものだけがシャンパーニュ

なのです。

ですから、シャンパーニュもワインです。
華やかですし、どのような料理にもよく合うので、
レストランで食前酒からオードブル、メインデディッシュまでずっとシャンパンで通すのもオシャレだと思いますね。

これを書いていたらシャンパーニュが飲みたくなってきました。
あぁ、今夜シャンパーニュを飲む理由がほしいっ!(笑)

バイザグラスのお気楽ワイン講座「ワイン入門」編では、
1杯目のワインとして毎回シャンパーニュをテイスティングしています。

シャンパーニュを含む5種類のワインを試飲しながらワインの基本が学べます。
ご興味ある方はぜひ参加してみてください!

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相思相愛の可能性は無限大!~ 料理とワインのペアリングは、ワインの楽しみの中でも最もワクワクする部分です

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

前回まで10回にわたって、白ワイン、赤ワイン、ロゼワインと「色」の異なるワインについてみてきました。

●白ワインについて
 ・ホントは白くないぞ、白ワイン!
 ・人生いろいろ、白ワインもいろいろ
 ・白ワインは酸味が大事なんです
 ・白ワインは、ブドウ果汁のみを発酵させて造ります
●赤ワインについて
 ・赤ワイン=白ワイン+渋味(タンニン)!
 ・赤ワインのタンニンは、ブドウの果皮も種も丸ごと漬け込むマセラシオンで生まれる 
 ・人生いろいろ、赤ワインもいろいろ
 ・シブいヤツほど長生きするのが赤ワインのオキテ!
●ロゼワインについて
 ・桜の色はロゼの色 ~ ロゼワインを飲みたい10通りのケース!
 ・えぇっ?血を抜く?? ロゼワインの造り方って、なんだか怖そう



それでは、どんなときにどんな色を選ぶと良いのでしょうか。

白ワイン、赤ワイン、ロゼワインの選択は、
季節によっても、状況によっても、何を食べるかによっても変わってきます。
もちろん、あなた自身の好みもあるでしょう。

ワインの色をどれにするか」は、ワインショップやレストランで何かひとつワインを選ぶ際のスタート地点となります。

ほとんどのレストランでは、ワインをブドウ品種や産地や味わいで分類する以前に、まず白ワインか赤ワインかで分類しているはずです。

料理の中には、白ワインとも赤ワインとも合わせられるものが結構あります。

たとえばサーモンのグリルなどは、コクのある白ワインとも軽めの赤ワインともよく合います。
鶏肉や豚肉などの白い肉も、調理法によって白ワイン、赤ワインともに合わせることが可能です。

ですから白が好きか、赤が好きか、あるいはロゼかという自分自身のワインの好みが、料理とワインを合わせるときの最初の決定要因となることが多いでしょう。

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 ▲鹿肉料理とフランス南西地方の重厚なワイン「マディラン」

一方、白ワインと合わせたほうが美味しい料理や、赤ワインと合わせたほうが美味しい料理もあります。

フレッシュ&フルーティーな白ワインのほうが良い場合もあれば、
樽香のある重厚な白ワインのほうが料理が引き立つ場合もあります。

フルーティで軽やかな赤ワインが合う料理もあれば、
タンニン豊富でドッシリしたフルボディの赤ワインでないと釣り合わないような力強い料理もあります。

このあたりの基本的なセオリーについては、いずれこのブログで書いてみたいと思っています。


でも、自分自身の味わいの好みこそが最大のルールです!

料理とワインをうまく組み合わせること(ペアリング)は、ワインの楽しみの中でも最もワクワクする部分です。
料理とワインのペアリングには「こうでなくてはいけない」という唯一の正解などなく、
組み合わせの可能性は無限大にあるからです。

選んだワインが料理と見事にマッチしたらとても嬉しいですし、
良いペアリングを自分で新たに発見したときは楽しさもひとしおです。

料理とワインの組み合わせ ~ あなただけの素敵なペアリングを探してみてはいかがでしょうか。

バイザグラスのワインセミナーでは、レストランで食事を楽しみながらワインを学ぶ「料理とワイン講座」も計画中です。
詳しくはウェブサイトでご案内します。

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えぇっ?血を抜く?? ロゼワインの造り方って、なんだか怖そうですね(笑)

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

今日の東京は昼過ぎまで強い雨が降っていました。
満開の桜が散ってしまいそうで心配。。。
でも、そんな儚さ(はかなさ)が桜の魅力なのかもしれませんね。

桜の色はロゼの色!
ということで、今回はロゼワインの造り方です。

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 ▲イタリア・シチリア島のロゼワイン

ロゼワインには4通りの造り方があります。

1.セニエ法

セニエとはフランス語で「血を抜く」という意味です。
なんとも物騒な名前ですが、どうしてそのような呼び方をするのか、
造り方を知るとわかります。

セニエ法は赤ワイン的な造り方です。

赤ワイン同様に黒ブドウの醸造を開始し、少しだけマセラシオンを行います。
マセラシオンしているので、発酵が始まると果汁がピンク色になってきます。

そのタイミングでピンク色になった果汁だけを引き抜き(これが「血を抜く」の意味!)、その果汁のみを発酵させていく方法です。

比較的色が濃く、タンニンのあるしっかりとしたタイプのロゼワインになります。


2.直接圧搾法

直接圧搾法は白ワイン的な造り方です。

黒ブドウを用いて白ワインを造る、という方法でロゼワインを造ります。
黒ブドウを圧搾して得られるピンク色の果汁を発酵させます。

圧搾機の中でごく短時間のマセラシオンがあるため、ピンク色が出てきます。
タンニン分はほとんど出てきません。

比較的色が淡く、軽くてフルーティなタイプのロゼワインが出来上がります。


3.混醸法

黒ブドウと白ブドウを混ぜて発酵させます。

造り方自体はセニエ法に準じます。
比較的酸味の豊かなロゼワインが出来上がります。
ドイツのロートリングなどが混醸法で造られています。


4.ブレンド法

白ワインと赤ワインを混ぜる造り方です。

具体的には、白ワインに少量の赤ワインをブレンドしてロゼワインにします。

ヨーロッパのロゼワインでは禁止されていますが、
例外的にスパークリングワインには許されています。
高価なロゼ・シャンパーニュも、実はこの方法で作られています。


余談ですが、「混醸」と「ブレンド」は違うので注意しましょう。
  • 混醸・・・ブドウの段階で混ぜる。異なるブドウ品種を一緒に醸造します。
  • ブレンド・・・ワインの段階で混ぜる。異なるワインを造って、ワインを混ぜます。
ちなみにフランスのボルドー地方では、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランなどでそれぞれワインを造り、そのワインをブレンドしています。意外ですね!

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桜の色はロゼの色 ~ ロゼワインを飲みたい10通りのケース!

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

お花見の季節も、もう終盤ですね。。
今日は中目黒の目黒川沿いで、満開で少し散り始めている桜を見物してきました。
あいにく天気はぐずついていましたが、たくさんの人がお花見やお散歩を楽しんでいました。

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桜の色はピンク色。
ピンク色したワインはロゼワイン!

・・・ということで、今日はロゼワインについて。

ロゼワインの原料は赤ワインと同じく黒ブドウです

ただし白ブドウを混ぜるときもあります。
ロゼ・シャンパーニュや、ドイツのロートリングというロゼワインなどです。

白ブドウだけではロゼワインは造れません。
果皮に赤い色素がないからです。

ロゼは色が命なので、たいてい透明の瓶に入っています。

ロゼワインは上記のように黒ブドウから造られますが、
ワインの色は赤ワインのような濃さにはなりません。

なぜなら、ブドウ果汁を果皮と非常に短期間しか接触させないからです。

接触時間は数時間だけ。
赤ワインのマセラシオンが数日から数週間に及ぶのとは対照的です。

この短時間の果汁と果皮との接触によって、
ロゼワインは果皮から極わずかなタンニン成分を吸収します。

ロゼワインはものによっては甘みを伴うことがありますが、
食事にも合わせられる辛口の本格的なロゼワインもあります。

いわゆるワイン通の人たちはロゼワインのことをばかにする傾向がありますが、
特に辛口のロゼワインは さまざまな食事に万能に合わせられることもあり、
近年では多くのワイン好きたちにその楽しさ、素晴らしさが見直されています。

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どんなときにロゼワインを選ぶとよいのでしょうか。

ロゼワインを飲みたい10通りのケース!

1.彼女が魚料理で彼が肉料理のときに(逆も然り)

2.赤ワインだとちょっと重いかな。。。というときに

3.軽めのランチとともにワインを楽しみたいときに(サンドイッチなど)

4.暖かく晴れた日のピクニックで

5.息子/娘や友人(や自分自身?)に初めてワインというものを飲ませるときに

6.暖かな日の夕べに夕食の前に

7.春の訪れを喜ぶときに(お花見にもピッタリですね)

8.ハムや軽めの豚肉料理とともに

9.ワインに氷を入れて飲んでみたい気分になったときに

10.バレンタインデーに

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シブいヤツほど長生きするのが赤ワインのオキテ!

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

赤ワインでは「渋味の強さはどうか」がポイントになります。

白ワインの場合は「酸味がどのようなものか」がポイントとなり、
「酸っぱいワイン」と「それほど酸っぱくないワイン」に大別できますが、

赤ワインは、大まかに言えば、
  • 渋いワイン(タンニンが豊か: ドッシリ系)
  • それほど渋くないワイン(タンニンが柔らか: エレガント系)

に分類できます。


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 ▲イタリアの高級ワイン「バローロ」はネッビオーロ種から造られる


赤ワインは渋味の強さによって適飲温度があります。

ボルドーの上級ワインのような、とても渋い赤ワインは18~20℃くらいです。
ブルゴーニュのワインだったら16℃くらいが上限です。
ボージョレーのような軽い赤ワインでしたら12℃くらいでしょう。

【関連記事】
赤ワイン=白ワイン+渋味(タンニン)!~ 赤ワインと白ワインの最大の違いは渋味にあります

簡単にまとめると、

赤ワインの適飲温度はおおむね12℃から20℃の範囲で、

渋ければ渋いほど20℃に近い温度で、
軽ければ軽いほど12℃に近い温度で、

飲むと美味しいでしょう。

タンニンには抗酸化作用があるので、
赤ワインは渋ければ渋いほど長期間熟成できます


例えばカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、ネッビオーロといったタンニンの豊富なブドウ品種のワインは、長持ちするので長期熟成が可能です。

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 ▲高級ボルドー「シャトー・デュクリュ・ボーカイユ」はカベルネ・ソーヴィニヨン主体

こうしたタンニン豊富なブドウ品種は比較的温暖な産地で多く作られます。

寒冷な産地ですと果実の熟度が高まらず、酸味が強く色の淡い黒ブドウしか作れません。
よって赤ワインは比較的温暖な産地に向いているワインだといえます。

唯一ピノ・ノワールは冷涼な産地を好みます
ワインの色は淡いルビー色で、口に含むとチェリーをかじった時のような酸味があります。

高級なピノ・ノワールのワインは香りが華やかで、
渋味はやわらかく溶け込み、
心地よい酸味を伴うエレガントなワインになります。

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 ▲ブルゴーニュの超高級ワイン「リシュブール」のブドウはピノ・ノワール

ピノ・ノワールの赤ワインは、フランスのブルゴーニュ地方のものが有名ですが、
渋味がそれほどないので、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、ネッビオーロほどは長持ちしません。

1本100万円以上するあのロマネコンティも、熟成年数はせいぜい30年くらいです。
いっぽうボルドーの極上級ワインは50年以上熟成します。

ものすごく長生きですね!
ぼくが生きてるうちに飲んだらもったいないなぁ(笑)

バイザグラスのワインセミナーでは「赤ワイン飲み比べ」という講座を予定しています。
5種類の赤ワインを試飲しながら、ブドウ品種ごとの特徴や違いを体感できますので、ぜひご参加ください。

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人生いろいろ、赤ワインもいろいろ ~ 軽い赤ワインにも重い赤ワインにも個性があります

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

以前に白ワインはいろいろあって、つまらない白ワインなんてない!と書きましたが、
赤ワインも本当にいろいろなタイプのものがあって、それぞれ個性に溢れています。

赤ワインは、
  • 渋味(タンニン)が強いと重く感じます。
  • アルコール感や果実味の凝縮感が強いワインも重く感じます。
  • 逆に、酸味が豊富な赤ワインは軽く感じます。

赤ワインの性格はタンニンの強さ、アルコールや果実味の凝縮感、酸味のバランスで決まります。


ワインの重さのことをボディといい、
  • 重いワインのことをフルボディ
  • 中位のワインのことをミディアムボディ
  • 軽いワインのことをライトボディ
といいます。
このボディという言葉は白ワインにも使います。

それでは、赤ワインにはどんなタイプがあるのか見てみましょう。


1.タンニン柔和で果実味がフレッシュなライトボディの赤ワイン

渋味がマイルドで、口当たりがソフトな赤ワインです。
たいてい酸味も豊かに感じられます。

下の写真のようなブルゴーニュの高級ワインには、女性的なエレガンスが感じられます。

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 ▲シャンボール・ミュージニー1級レ・ザムルーズ(グロフィエ)

チェリーやイチゴ、ラズベリーのような赤い果実を連想させるフレッシュな果実味です。
ボージョレーのようにジューシーな赤ワインは、少し冷やして飲むこともできます。
  • フランスのボージョレー・ヌーボー
  • フランス・ブルゴーニュ地方のピノ・ノワール種
  • フランス・ロワール地方のカベルネ・フラン種
  • イタリアのバルベーラ種
などがあります。

なお上記のような土地の個性あふれるライトボディの赤ワインとは別に、
スーパーで売られている1000円以下の赤ワインの多くも、単に「軽い」という意味ではこのカテゴリーに入るでしょう。


2.ライトとフルの中庸、ミディアムボディの赤ワイン

多くの赤ワインはここに入ります。

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 ▲キアンティ・クラシコ(フォントディ)

  • それほど高くないフランス・ボルドー地方のワイン
  • それほど高くないイタリアワイン(キアンティなど)
  • それほど高くないスペインワイン(リオハなど)
だいたい1本2000円~3000円くらいのワインですね。


3.タンニン豊富で凝縮感のあるフルボディの赤ワイン

タンニンが力強いタイプ、アルコール感の強いタイプ、果実味がドッシリしているタイプ、スパイスのような迫り来る風味を伴うタイプなど、とにかく何らかの意味でパワフルなワインです。

価格的にも高いワインが多いです。

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 ▲高級ボルドーワイン「シャトー・マルゴー」

  • 高級ボルドーワイン
  • フランス・ローヌ地方のシラー種やグルナッシュ種のワイン
  • イタリアのバローロやバルバレスコ
  • イタリアのスーパートスカーナワイン
  • スペインの高級リオハやプリオラート
  • カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワイン

白ワイン同様、赤ワインにも、いろいろなタイプがあるのですね。

バイザグラスのワインセミナーでは「赤ワイン飲み比べ」という講座も予定しています。
いろいろな産地・いろいろなブドウ品種の赤ワインを知りたい方は、ぜひ参加してみてください!

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ぼくは紅茶を入れるたびに「マセラシオンしてるっ」という気分になります ~ 赤ワインのタンニンは、ブドウの果皮も種も丸ごと漬け込むマセラシオンで生まれる

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

赤ワイン=白ワイン+渋味(タンニン)だと前回お話しました。

この「プラス渋味」という特徴は、白ワインと赤ワインの造りかたの違いのせいで生まれます。

その違いとは、
白ワインはブドウの果汁のみをアルコール発酵させるのに対して、
赤ワインはブドウの粒ごとまるまる一緒にアルコール発酵させることです。

まるまる一緒にというのは、果汁の中に果肉も果皮も種子もすべて漬け込むということです。

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 ▲ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ(ニコラ・ポテル)

それでは順を追って赤ワインの造り方を見ていきましょう。

1.除梗(じょこう)

ブドウを収穫したら、まず果梗から果粒を取り外します。

2.破砕

果肉からジュースを絞り出すことを容易にするために、果粒の皮を軽く破ります。

・・・上記の除梗・破砕は白ワインの造り方と同じです。

3.発酵&マセラシオン

赤ワイン醸造では、アルコール発酵によるアルコール生成と、果皮・種子からの成分抽出が同時進行します。

成分抽出のために、果汁の中に果肉、果皮、種子を一緒に漬け込むことを
マセラシオン
といいます。

マセラシオンによって、果汁の中で
  • 果肉もだんだん果汁になっていきます。
  • 果皮からは、色素が抽出されて赤ワインの色になっていきます。
  • 種子からは、渋味(タンニン)が抽出されていきます。
アルコール発酵そのものは数日から1週間程度ですが、
マセラシオンの期間は目指すワインのかたちによって数日から週十日の幅があります。

発酵&マセラシオンを行なう容器は、最も一般的なステンレスタンクのほか、木やセメントなどのものもあります。

4.圧搾

赤ワイン造りでは、白ワインのときとは逆に、発酵させた後にブドウ果実の圧搾を行ないます。
赤ワイン造りにおける圧搾は、ワイン(液体)とブドウ(固体)を分離させる作業です。

マセラシオン終了後、発酵容器の下部の栓を開けてワイン(液体)のみを引き抜きます(フリーランジュース)。
つぎに容器に残ったブドウの固体部分を圧搾機でプレスし、ワインを搾り出します(プレスジュース)。

フリーランジュースのほうがピュアな味わいのワインで、
プレスジュースのほうは、強く圧力をかけて搾り出したものであるほど雑味を含みます。

プレスワインには渋味成分も多く含まれているので、ワインにタンニンなど骨格を与えるために適度に交ぜられます。

フリーランジュース、プレスジュースについては、白ワインの造り方でも述べていますので参考にしてください。

5.マロラクティック発酵(MLF)

赤ワインは、あまりに酸っぱいものは好まれません。
そのため赤ワイン造りでは、酸味を穏やかにして口当たりをまろやかにするための発酵を行ないます。
これをマロラクティック発酵
、通称MLFといいます。

マロラクティック発酵は、乳酸菌の働きで、リンゴ酸(酸っぱい酸)をまろやかな酸(乳酸)に変える発酵です。

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マロラクティック発酵には

酸味がやわらかくなる
 ・・・ワインがまろやかになる

風味が複雑になる
 ・・・香りをもつ副生成物によるもの

という2つの効果があります。

なお白ワインの中にも、マロラクティック発酵をするものがあります。

①MLFする白ワイン
 ・・・シャルドネで、まろやかな白ワインにしたい場合。
   高級白ワインに多くみられます。

②MLFしない白ワイン
 ・・・リースリング、ソービニヨン・ブラン、ミュスカデなど。
   酸味を減らしたくない、スッキリ、キリッと造りたい白ワインです。

6.熟成
7.オリ引き(澱引き)
8.清澄
9.ろ過
10.瓶詰め


・・・上記6~10 の工程は、白ワインの造り方と同じです。
  全体的に赤ワインのほうが白ワインより熟成期間は長くなります。

いかがでしょうか。
赤ワインと白ワインの最大の違いである渋味(タンニン)は、
白ワインと赤ワインの造りかたの違い、マセラシオンによって生まれるのですね!

ぼくはワインを勉強して以来、紅茶を入れるたびに「今マセラシオンしてるっ」という気分になります(笑)

赤ワインの持つ複雑さは、こうしたプラスアルファの工程から生まれているんですね。

これを書いていたら赤ワインが飲みたくなってきました。
桜も満開になったし、今日はピノ・ノワールを楽しむことにします!

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赤ワイン=白ワイン+渋味(タンニン)!~ 赤ワインと白ワインの最大の違いは渋味にあります

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

以前、白ワインは白くない!という記事を書きましたが、
赤ワインの場合はその名のとおり、本当に赤い色をしていますね。

紫がかった赤もあれば、ルビーのような赤もあるし、ガーネットのような赤もあります。
いずれにせよ、赤い色をしています。

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 ▲ルビー色のシャンボール・ミュージニー(ユドロ・ノエラ)

赤ワインは、
果皮が真紅色、暗紅色、もしくは黒みがかった紫色のブドウから造られます。

ところで白ワインは白ブドウから造られるのでしたね。
とすると、赤ワインの原料となるブドウを、何ブドウと呼ぶと思いますか?

赤ブドウ?

いいえ、黒ブドウです!

赤ワインは黒ブドウから造られます。

なぜ黒と呼ぶのかはわかりませんが・・・きっと白の反対は黒だからかもしれませんね。

赤ワインと白ワインの最もわかりやすい違いは、その色です。

黒ブドウも果汁そのものは無色ですが、
赤ワインの色は、黒ブドウの果汁が発酵の最中に
ずっと果皮と接触し続けて、
その果皮の色素を吸収することによってできています。

色とともに、ブドウの果皮はワインに渋味(タンニン)を与えます。
このタンニンは、赤ワインの味わいを形作る重要な物質です。

赤ワインにはタンニンが存在することが、白ワインとの最も大きな違いなのです。

味わいの違いを単純化すれば、

赤ワイン = 白ワイン + 渋味(タンニン)

だといってもよいでしょう。

赤ワインには非常に多くのバリエーションがあります。

生産者がどのようなスタイルの赤ワインを造りたいかによって、
ワインの醸造の仕方を調整する方法がたくさんある、ということが大きいでしょう。

たとえば、果汁を果皮と接触させておく時間を長く取れば、ワインはより渋味を増し、渋味の強いお茶のように口の中をキュッと引き締めます。

逆に果汁と果皮を短い期間だけしか接触させなければ、ワインはそれほど渋味を持たずソフトな口当たりとなります。

赤ワインはワインだけで飲むよりも、食事や軽食と一緒に飲むほうが美味しく楽しめます。

いろいろなスタイルの赤ワインがあるおかげで、どんな種類の食べ物でも、どんな場面でも、それに合った赤ワインを見つけることができます。

唯一の例外があるとすれば、泡モノを飲みたいときでしょうか。
もちろんスパークリングの赤ワインもあることはありますが、それほど種類は多くありません。

赤ワインを飲むときに気をつけたいのは温度です。

まず、冷やしすぎないことです。
赤ワインが冷たすぎると、タンニンが非常にきつく感じます。

逆に、赤ワインは温かすぎてもいけません。
せっかく赤ワインを注文しても、適温より少し高い温度で出す飲食店をたまに見かけますが、それではデリケートな香りや酸味がぼやけてしまいます。

ボトルを触ってみて、手のひらがほんの少しだけ冷たく感じたら、たぶんちょうど良い温度です。

ヨーロッパでは一般に室温で飲むのがよいとされていますが、日本の場合は特に春夏は室温が高いので、注意が必要です。
  • 軽い赤ワインなら12~14℃
  • ブルゴーニュやピノ・ノワールの赤ワインなら16℃前後
  • カベルネ・ソーヴィニヨンなどフルボディの赤ワインなら18℃前後
  • どんなに力強い赤ワインでも20℃が上限
赤ワインを楽しむときは、上記の温度を目安にしてみてはいかがでしょうか。

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