バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

スパークリングワインには必ず泡があります。
ほとんどが白かロゼです。
赤いスパークリングワインもありますが例外的で、ロゼも白に比べるとかなり少数派です。

スパークリングワインにはスッキリ辛口のものもあれば甘口のものもあります。
それ以外は中辛口であったり、中甘口であったり、ともかく辛口と甘口の間のどこかになります。

そのような甘辛とは別に、スパークリングワインの中にはトーストやナッツのような風味が感じられるタイプのものがあり、逆にとてもフルーティなタイプのものもあります。
後者のタイプの中にも、爽やかだけど風味にそれほど特徴のないものもあれば、レモン、リンゴ、チェリー、白桃などを思わせるデリケートな風味を伴うタイプのものもあります。

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スパークリングワインの造られ方と、その結果として現れる味わいの観点から大まかに分類すると、世界のスパークリングワインは次の2つのスタイルに分けることができるでしょう。

(1) 果実味やフレッシュさを表現したスパークリングワイン 

・・・こうしたスパークリングワインはそれほど重層的な複雑さはなく、フルーティでシンプルなものが多いです。

(2) 複雑さやデリケートな風味を表現したスパークリングワイン

・・・果実味をストレートに表現するのではなく、醸造や熟成の工程から得られる複雑な風味を伴います。こうした風味はイースト香、ビスケット、キャラメル、ナッツ、ハチミツなどのようなニュアンスのものです。シャンパーニュはこちらのスタイルです。

厳密に言えば、ほとんどのスパークリングワインは「完全に」辛口ではありません。
なぜなら、通常のスパークリングワインはどれもごく少量の糖分を含んでいるからです。
この糖分は、製造工程の最終段階で添加されるものです。

だからといって、通常のスパークリングワインはどれも甘い味がするというわけではありません。
甘味の知覚は主に次の2つの要素によって左右されます。
・ 実際にワイン中に含まれている糖分量(ワインのスタイルによって異なる)
・ ワインのもつ酸味と甘味のバランス

スパークリングワインは通常、高い酸味を持っています。
それはなぜかというと、スパークリングワインのブドウはたいてい冷涼な気候で育てられているので、収穫時点の成熟度がそれほど高くないからです。
さらにワイン中の炭酸ガスが口中の酸味の印象を強化します。

しかしワインの甘味がその酸味のシャープさを相対的に和らげる方向に作用し、両者にバランスが働いてきます。
実際の糖分量と、その甘味が酸味のシャープさをどのあたりまで丸めているかによって、そのスパークリングワインは辛口に感じたり、ほんの少し甘く感じたり、中程度に甘く感じたり、とても甘く感じたりするのです。
これぞ、「バランス」という要素がいかに味覚に作用するかという好例だといえます。

スパークリングワインの雄シャンパーニュにも、甘味の度合いにいくつかの種類があります。
いちばん一般的なのはブリュット brut で、いわゆる辛口に相当します。

一般論ですが、安めの価格帯のスパークリングワインには中甘口のものが多いです。
これは少し甘味のある味わいを好むマス・マーケット向けにアピールするためです。
イタリア語でスパークリングを指すスプマンテ spumante も本来は辛口も甘口もあるのですが、廉価なものだと甘口であることが多いですね。
イタリアンレストランで辛口スパークリングワインを飲みたい場合は、ちょっと気をつけたほうが良いでしょう。

(バイザグラス株式会社 代表取締役・ソムリエ 松沢裕之)

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