バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネは、ナパ・ヴァレーでワインを造っている生産者のほぼ全員が造っています。
それから、多くの生産者はメルローも手がけています。

ナパにおける最重要品種をあげるとすれば、白ワイン用2種類、赤ワイン用4種類の計6種類となるでしょう。

白はシャルドネとソーヴィニヨン・ブランです。
ソーヴィニヨン・ブランはナパではフュメ・ブラン Fumé Blanc とも呼ばれます。

赤はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、それからジンファンデルです。
ピノ・ノワールは主に冷涼なカーネロスで造られています。

生産量の観点で言えば、カベルネ・ソーヴィニヨンがナパ・ヴァレーで最も重要なワインとなります。
カベルネ・ソーヴィニヨンはナパ・ヴァレーの全生産量の40%を占めています。
多くのワイン評論家の間でも、ナパで最も優れたワインを産み出すのはカベルネ・ソーヴィニヨンだと広く認識されています。

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 ▲オーパス・ワンはメリテージ・ワインの代表格ともいえる

ナパ・ヴァレーでは、単一ブドウ品種ワインだけでなく、複数のブドウをブレンドしたワインも重要な商品です。

たとえば赤ワインであれば、いわゆるボルドー品種でブレンドすることが多いです。
具体的にはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、それからたまにプティ・ベルドなどをブレンドします。
白ワインの場合もボルドーの白ワインブレンド品種、すなわちソーヴィニヨン・ブランとセミヨンをブレンドすることが多いです。

こうしたブレンドワインはメリテージ・ワイン Meritage Wine と呼ばれることがあります。
Merit(メリット)とHeritage(遺産)を併せた造語で、ナパ・ヴァレーだけではなくアメリカ全体で使われている用語です。

ラベル上にわざわざ Meritage と書かれていることはほとんどないですが、基本的にはボルドー地方の伝統的ブドウ品種をブレンドしたボルドータイプの高品質ワインに対して使われる用語です。
代表例としてはオーパス・ワン Opus One があげられます。

メリテージ・ワインは品種名がラベルに書かれていません。

アメリカではふつう単一品種75%以上を使用していないとヴァラエタル・ワイン(品種名表示のある良質ワイン)になれませんが、
たとえば「うちのワインは○○と△△をブレンドするとすごく美味いワインができるんだ!」といったケースにおいては、
メリテージ・ワインというカテゴリーはマーケティング上、大いに存在意義のあるものとなるでしょう。

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