バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

南アフリカで最も栽培面積が大きいブドウ品種シュナン・ブランです。
シュナンブランは南アではスティーン Steen とも呼ばれます。

シュナンブランは多才なブドウで、甘口にも中辛口にも辛口にもスパークリングにも遅摘みの貴腐ワインにもなります。

赤ワイン用では、黒ブドウで栽培面積が国内1位カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーズ、
メルロー、ピノ・ノワールが近年ますます重要な品種になっています。
シュナンブラン以外の白ワインではソーヴィニヨン・ブランとシャルドネが人気があります。

カベルネ・ソーヴィニヨンとソーヴィニヨン・ブランは、南アフリカの気候のもとでは大変良いものができます。

南アフリカの黒ブドウ品種で忘れてはならないのは、ピノタージュ Pinotage です。
ピノタージュは1925年にピノ・ノワール種とサンソー種の交配で生まれた南アフリカ独特のブドウ品種です。

ピノタージュの最初のワインは1941年に造られていますが、市場で認知されるようになったのは1959年のことで、1961年に初めてラベルにこの品種名が書かれたワインが出たそうです。

ピノタージュのワインは赤みの濃い色調で、 ピノ・ノワールのようなチェリーやキイチゴの風味とローヌワインの持つ土のニュアンスを併せ持つワインです。
ライトからミディアムボディの飲みやすいタイプにも、タンニン豊かなパワフルなワインにもなります。
また、シラーズなど他の品種とブレンドされることも多いです。

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 ▲ピノタージュとシラーズのブレンドのワイン

ピノタージュは試してみる価値のあるワインですが、これから国際マーケットで南アフリカのワインを背負っていくであろう品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーズ(ブレンドも含めて)、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネだと思います。

シュナンブランとピノタージュは、もちろん現在でも多く造られていますが、どちらかといえば南アフリカワインの「これまで」を代表する品種という感じがします。

カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネが、まさに現在の南アフリカワインの代表品種であり、実際に高品質なワインが世界で売られています。

しかし
南アフリカワインの「これから」を期待されている品種はソーヴィニヨン・ブランとシラーズだと思います。

ソーヴィニヨン・ブランに関して言えば、すでに世界でも最高レベルのワインが造れるようになっています。

南アの生産者は一般に、とても香りの強いソーヴィニヨン・ブランのワインを造ります。
とくにコンスタンシアをはじめとした冷涼な気候の地域で造られるソーヴィニヨン・ブランは、香りや風味が非常に力強いワインになります。

ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランに似ている部分がありますが、ニュージーランドのもののほうが、まだ風味が穏やかで飲みやすく感じられるかもしれません。

シラーズは南アフリカに限らず南半球全体の生産者が好んで造る人気品種となっています。
南アの生産者がシラーを好むのは、その多能性です。
暖かい地域でも冷涼な地域でも育てることができるからです。

シラーズは近年、南アフリカで最も急速に生産量を増やしている品種です。
10年後くらいには、シラーズが南アで最も生産量の多い赤ワインになるかもしれません。

南アフリカのワイン事情も、変化が
とても激しくなっているのですね。
これからもっと注目していきたいと思います。

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