バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

前回はチリで最も有名かつ歴史も古いワイン産地、首都サンティアゴ近郊にあるマイポ・ヴァレーについて述べました。
チリのその他の主なワイン産地について、これから北から南に向かって順に見ていくことにしましょう(とくに重要な産地名には下線を付しています)。

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 ▲コノスルの最高級ブランドOCIOはカサブランカ・ヴァレー産のピノ・ノワール


●エルキ・ヴァレー Elqui Valley

チリ北部の大部分をカバーするアタカマ砂漠に近いエルキ・ヴァレーは、東西に長い産地です。
小さく、まだやや発展途上の産地です。
気候は、海沿い側は冷涼多湿でソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワールの栽培に適し、内陸側は温暖でカベルネ・ソーヴィニヨンやカルメネーレに向いています。

●リマリ・ヴァレー Limarí Valley

サンティアゴの北西400Kmほど、太平洋の近くにある降雨量の少ない小さな産地です。
太平洋からの涼しい朝霧、そして海風がこの産地全体をを日中ずっと吹きつけています。

コンチャイ・トロなど大手ワイナリー数社が目をつけて近年、土地を購入しています。
石灰質の多く含まれる土壌で、これまでのところソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネなどが成功してきており、チリでは今後期待の注目されそうな産地となっています。

アコンカグア・ヴァレー Aconcagua Valley

サンティアゴの北にあるアコンカグア・ヴァレーは アメリカ大陸の最高峰アコンカグア山から名づけられました。
アンデス山脈のふもとから海に向かって流れるアコンカグア川沿いの平地で、全体としてはかなり気温の高いエリアですが、標高が高くやや冷涼なエリアも多く含んでいます。

日照量が多く、曇りの日が少なく年間240~300日は晴れで、ブドウの成熟には最適な気候です。
カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーなどのしっかりした赤ワインが中心の産地です。

1870年創立のヴィーニャ・エラスリス Viña Errázuriz がアコンカグアでもっとも主要なワイナリーです。

カサブランカ・ヴァレー Casablanca Calley

カサブランカ・ヴァレーは1990年代にチリで初めて海沿いに開拓されたワイン産地です。
チリで初めて開拓された冷涼なブドウ畑だともいえます。

海岸山脈の西側に位置し太平洋に近く、冷涼な海風の影響を受けて気温が下がります。
その冷涼な気候のため白ワインの生産が多くチリで最高クラスのシャルドネやソーヴィニヨン・ブランが育てられています。

少し標高の高い場所では高品質のピノ・ノワールやメルローもあります。
チリ中のワイン生産者が多かれ少なかれカサブランカ・ヴァレーにブドウ畑を持っています。
シャルドネやピノ・ノワールの高品質なワインが生まれる産地です。

サン・アントニオ・ヴァレー San Antonio Valley

ここもカサブランカ・ヴァレーと同じく海岸山脈の西側にあり、冷涼な海風が直接吹き付けるエリアです。
カサブランカ・ヴァレーの南に位置し、1990年代後半から本格的に開発された新しい産地で、
おそらくチリで今最も注目されている新しいワイン産地です。

冷涼な気候を生かし、さわやかでミネラル感の豊富なソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、繊細なピノ・ノワールなどが造られています。
サブ・ゾーンとしてレイダ・ヴァレー Leyda Valley という産地も含んでおり、そこで造られたワインにはラベルに Leyda Valley とだけ書かれています。

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以上が首都サンティアゴまたはマイポ・ヴァレーよりも北にある主なワイン産地です。
次回は、それより南にある産地について述べたいと思います。

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