バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ドイツワインに対する一般的な認識は、
「きっと甘い味がするんだろうな」といった感じではないでしょうか。
たしかにひと昔前までは甘口が多かったのです。

いまはどうなのかといいますと、辛口ワインがずっと増えてきている傾向にあり、
現在では全ドイツワインの3分の2が辛口で、甘口は3分の1となっています。

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 ▲昔からおなじみのドイツワイン「マドンナ」はリープフラウミルヒ

現代のドイツワインでは、どのような甘さのレベルのものも(逆に言えばどのような辛口レベルのものも)見つけることができます。

比較的安価なドイツワインは、ほとんどの場合、ライトボディでとてもフルーティーで、甘みを伴った白ワインです。
とても飲みやすいカジュアルなタイプのワインで、食べ物がなくても、それだけで飲むことができます
(・・・というより、甘いので料理には合わせにくいかも)。

たとえば、日本でも30年以上昔から売られている「マドンナ」というドイツワインが、このタイプのワインの典型例です。
このテのワインは、ドイツではリープフラウミルヒ Liebfraumilch と呼ばれるワインで、必ず甘口です。

ドイツで最も辛口のワインは、トロッケン Trocken と呼ばれます。
トロッケンは英語の dry に相当する言葉で、文字通り「辛口」を意味します。

トロッケンよりは甘いけれどもリープフラウミルヒよりは辛口であるワインは、ハルプトロッケン Halbtrocken と呼ばれます。
直訳すれば「中辛口」となります。

こうしたトロッケン、ハルプトロッケンという言葉は、ラベルに記載されていることが多いです。

ワインショップ等でドイツワインを見たときに、そのワインが甘いのか辛口なのかを判断するために、簡単な目安がひとつあります。

それはラベルに表示されているアルコール度数を見ることです。

もしもアルコール度数が9%くらいかそれ以下であれば、おそらくそのワインはアルコール発酵されずに残ったブドウの糖分がまだ含まれており、甘口だと考えられます。
アルコール度数が10%以上のものであれば、それはおそらくブドウが完全にアルコール発酵しており、辛口ワインに仕上がっていると思われます。

辛口の白ワインのほうが一般的には好まれると思いますが、ドイツワインの場合、多少の甘みも魅力のひとつであることに気づきます。
実際、ある程度の甘みこそがドイツワインの品質を高めている面があるのです。

それはなぜかといいますと、その甘みが、ワインが自然に持っている高い酸味を覆い隠して、そのワインのバランスを整えるからです。

逆に言えば、ドイツワインが持つ酸の高さが甘みを打ち消してくれるため、飲んでみると、そんなに思うほどは甘く感じられないものです。

ドイツのワイン生産者がワインの甘みを保持する伝統的な方法のひとつに
ズースレゼルヴェ Süssreserve を加えるというのがあります。

ズースレゼルヴェとは収穫したブドウの果汁の一部を未発酵のまま保存したもので、ワインの甘みの調整のために、最大25%までワインに加えることがドイツでは法的に許されています。
そのズースレゼルヴェすなわちブドウ果汁は、自然で果実味のある甘さをワインに与えてくれます。

ちなみにズースレゼルヴェをワインに加えることは、フランスやイタリアでは禁止されています。
ドイツでも高級ワインにはあまり行われなくなっており、現在の高級甘口ドイツワインの場合は、亜硫酸の添加などでアルコール発酵を途中で停止させ、それによって糖分を残す方法が一般的です。

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