バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ドイツのワインって、皆さん日頃飲みますか?
30~40年くらい前に日本でワインを飲み始めた人たちは当時、甘口のドイツ白ワインから入った人、結構多かったんですよ。

そんな歴史的背景もあって、ドイツワインというと、どうも初心者向けワインというイメージがいまなお払拭し切れていないように感じます。

でも、紀元前100年頃に古代ローマ人がこの地でワイン造りを始めたのがドイツワインの起源ですので、ドイツワインの歴史は非常に長く、醸造技術も常に先進的でスゴイんです。

assmannshausen
 ▲ラインガウ地域のアスマンハウゼン

ドイツのワインは、ヨーロッパのワインの中では少し違った道を辿っています。

ドイツのワインは伝統的に白ワインだけ・・・とまでは言いませんが、ほとんど白ワイン主体でやってきました
ドイツで栽培されているブドウの約3分の2が白ブドウです。

ドイツの白ワインはフルーティーなスタイルで、アルコール度数が低く、樽熟成はせず、多くは甘口もしくは少々甘味を含む中辛口です。

ラベル表記もヨーロッパの中では珍しく、ドイツワインはたいていラベルにブドウ品種が記されています

ドイツワインの生産地域は北緯47度から52度の間にあり、
ドイツはヨーロッパの主要ワイン生産国の中では最も北に位置しています

そのため気候は非常に冷涼です。

ドイツの中にも一部は温暖な地域もありますが、それは例外的で、一般的に言えばドイツでは黒ブドウはあまりよく熟しません。
少なくとも、1997年頃から影響が言われ始めた近年の地球温暖化の前まではそうでした。
最近は地球温暖化の影響で黒ブドウもよく成熟するようになり、ドイツの赤ワインは量も品質も増えています

またドイツの産地の気候は毎年変動が大きく、ブドウの出来の良い年とそうでない年が比較的ハッキリ現れます。

ドイツの素晴らしいブドウ畑の多くは、ライン河モーゼル河のような河川沿いの、日当たりの良い急峻な斜面にあります。
これも年ごとの気候変動による極端なブレを抑え、ブドウの成熟を促進させる必要性から、長い歴史のなかでそうなったものです。

今回から数回に分けて、ドイツのワインについて述べていきたいと思います。

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