バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。
今回はラベル表示のお話の締めくくりとして、畑名の表示、"Vieilles Vignes"、"Superiour"、"Classico" という文言の表記についてまとめておきます。
◆畑名の表示◆
中級以上のワインの中には、原料ブドウが育てられた特定の畑名がラベルに表記されているものがあります。
ワイナリーによっては、同じ村名で、同じブドウ品種で、畑の名前だけが異なるワインを数種類つくることもあります。とくにフランスのブルゴーニュ地方でそのようなワインが見られます。
以前にも述べたように、個々のテロワールはいわば唯一無二の自然的条件を持っていますので、畑名の書かれたワインは、畑ごとの独特の個性を持っているというわけです。
【関連記事】
テロワールとは、その畑だけが持つ唯一無二の自然的諸条件の組み合わせ
ブルゴーニュ地方では畑にも等級があり、最上位は特級畑(グラン・クリュ) Grand Cru、次が1級畑(プルミエ・クリュ) Premier Cru (1er Cru)です。
等級のついていない畑であっても、わざわざ畑の名前が書いてあるワインは、その畑の個性が感じられる、「良いワイン」である可能性が高いです。
▲ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ村のワイン ~ 1er Cru - Les Beaumonts と畑名が記載
イタリアでもとくに北部はブルゴーニュ地方に似て、単一畑のワインを造る傾向があります。
わざわざ畑名を書いていないこともありますが、書いてある場合は Vigna ○○ といった表記がラベルにあります。
▲イタリアのバローロ ~ VIGNA COLONNELLO と畑名が記載
◆Vieilles Vignes◆
イタリアワインの Riserva やスペインワインの Reserva は「ワインが古い(= 熟成が長い)」という意味でしたが、
フランスワインでよく見かける Vieilles Vignes はヴィエイユ・ヴィーニュと読み、
「古いブドウ樹」という意味です。
カリフォルニアワインやオーストラリアワインにも "Old Vines" と書かれていることがあり、意味は同じです。
古いブドウ樹は若い樹に比べて収穫量が激減します。
つまり果実が非常に少ない量しかできません。
樹が根や葉を通じて吸収する養分を果実たちが分け合うわけですが、
若い樹にできた果実よりも古い樹の果実のほうが養分を取り合うライバルが少ないので、
果実一粒あたりの養分量が相対的に多くなる(濃くなる)ことから、凝縮感の高い果汁が得られます。
また古いブドウ樹は若い樹に比べて地中深くまで根を張っています。
根が深いほど安定的な水分量を樹に供給できますし、
深い分だけ、より豊富で複雑な要素を持った養分を果実に供給することもできます。
こうしたことから、古い樹のブドウから造られるワインは高品質だと考えられているのです。
問題は、ヴィエイユ・ヴィーニュという言葉には規定がないため、誰でも「この樹は古い」と言えてしまうことです。
一般にブドウの樹の寿命は60年~100年といわれますが、樹齢が40年を越えたあたりからヴィエイユ・ヴィーニュと呼んでいることが多いようです。
▲ラベルに "VIEILLES VIGNES" と書かれているワイン
◆Superiore,Supérieures◆
Superiore スペリオーレはイタリア語、Supérieures シュペリウールはフランス語です。
いずれもAOPワイン(DOPワイン)の名前の一部としてラベルで見かける言葉です。
【関連記事】
AOP,DOP,AOC,DOC,DOCG,DO,DOCa ・・・原産地呼称制度も国によって呼び名が違うなんて、ヨーロッパって大変ですね。。
伝統的には、同銘柄の通常のワインよりもアルコール度数が高いことを意味していました。
たとえば Soave ソアーヴェよりも Soave Superiore ソアーヴェ・スペリオーレのほうがアルコール度数が高いということになります。
しかし現在では、必ずしもアルコール度数が高いからというよりも、畑の場所やワインの造り方等々による区分として付けられているのが実情です。
◆Classico◆
Classico クラシコはイタリアワインでよく見かける言葉です。
同じ地域の中でも畑が古い(元祖の畑である)ことを示しています。
Chianti Classico キァンティ・クラシコが有名ですね。
これも、もともとキァンティという地域は限られた範囲だけだったのに、時とともにだんだんキァンティを名乗れる地域が周辺に広がってしまいました。
そこで、もともとからキァンティだったところをクラシコと呼ぶことになったのです。
今回はラベル表示のお話の締めくくりとして、畑名の表示、"Vieilles Vignes"、"Superiour"、"Classico" という文言の表記についてまとめておきます。
◆畑名の表示◆
中級以上のワインの中には、原料ブドウが育てられた特定の畑名がラベルに表記されているものがあります。
ワイナリーによっては、同じ村名で、同じブドウ品種で、畑の名前だけが異なるワインを数種類つくることもあります。とくにフランスのブルゴーニュ地方でそのようなワインが見られます。
以前にも述べたように、個々のテロワールはいわば唯一無二の自然的条件を持っていますので、畑名の書かれたワインは、畑ごとの独特の個性を持っているというわけです。
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ブルゴーニュ地方では畑にも等級があり、最上位は特級畑(グラン・クリュ) Grand Cru、次が1級畑(プルミエ・クリュ) Premier Cru (1er Cru)です。
等級のついていない畑であっても、わざわざ畑の名前が書いてあるワインは、その畑の個性が感じられる、「良いワイン」である可能性が高いです。
▲ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ村のワイン ~ 1er Cru - Les Beaumonts と畑名が記載
イタリアでもとくに北部はブルゴーニュ地方に似て、単一畑のワインを造る傾向があります。
わざわざ畑名を書いていないこともありますが、書いてある場合は Vigna ○○ といった表記がラベルにあります。
▲イタリアのバローロ ~ VIGNA COLONNELLO と畑名が記載
◆Vieilles Vignes◆
イタリアワインの Riserva やスペインワインの Reserva は「ワインが古い(= 熟成が長い)」という意味でしたが、
フランスワインでよく見かける Vieilles Vignes はヴィエイユ・ヴィーニュと読み、
「古いブドウ樹」という意味です。
カリフォルニアワインやオーストラリアワインにも "Old Vines" と書かれていることがあり、意味は同じです。
古いブドウ樹は若い樹に比べて収穫量が激減します。
つまり果実が非常に少ない量しかできません。
樹が根や葉を通じて吸収する養分を果実たちが分け合うわけですが、
若い樹にできた果実よりも古い樹の果実のほうが養分を取り合うライバルが少ないので、
果実一粒あたりの養分量が相対的に多くなる(濃くなる)ことから、凝縮感の高い果汁が得られます。
また古いブドウ樹は若い樹に比べて地中深くまで根を張っています。
根が深いほど安定的な水分量を樹に供給できますし、
深い分だけ、より豊富で複雑な要素を持った養分を果実に供給することもできます。
こうしたことから、古い樹のブドウから造られるワインは高品質だと考えられているのです。
問題は、ヴィエイユ・ヴィーニュという言葉には規定がないため、誰でも「この樹は古い」と言えてしまうことです。
一般にブドウの樹の寿命は60年~100年といわれますが、樹齢が40年を越えたあたりからヴィエイユ・ヴィーニュと呼んでいることが多いようです。
▲ラベルに "VIEILLES VIGNES" と書かれているワイン
◆Superiore,Supérieures◆
Superiore スペリオーレはイタリア語、Supérieures シュペリウールはフランス語です。
いずれもAOPワイン(DOPワイン)の名前の一部としてラベルで見かける言葉です。
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伝統的には、同銘柄の通常のワインよりもアルコール度数が高いことを意味していました。
たとえば Soave ソアーヴェよりも Soave Superiore ソアーヴェ・スペリオーレのほうがアルコール度数が高いということになります。
しかし現在では、必ずしもアルコール度数が高いからというよりも、畑の場所やワインの造り方等々による区分として付けられているのが実情です。
◆Classico◆
Classico クラシコはイタリアワインでよく見かける言葉です。
同じ地域の中でも畑が古い(元祖の畑である)ことを示しています。
Chianti Classico キァンティ・クラシコが有名ですね。
これも、もともとキァンティという地域は限られた範囲だけだったのに、時とともにだんだんキァンティを名乗れる地域が周辺に広がってしまいました。
そこで、もともとからキァンティだったところをクラシコと呼ぶことになったのです。