バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。
前回は、ヨーロッパの「地理的表示付きワイン」にはEUが新たに制定した
(1) AOP(原産地呼称保護) または
(2) IGP(地理的表示保護)
というラベル表示がされているはずだけど、
実際にはこれらの表示を使っているものはまだ少なく、
各国でもともと定めていた表示法がいまも続いている、というお話をしました。
では、EUの定める AOP、IGP という新たな表示法を使用する代わりに、
フランス、イタリア、スペインのワインラベルではどのような表示法がいまでも多く使われているのか、具体的にまとめてみました。

▲フランスワインのラベル表示
◆フランス
(1) AOPに相当
AOC = Appellation d'Origine Côntrolée (原産地統制呼称)
Origine の部分に具体的な場所名が入ったり、
(例)Appellation Musigny Côntrolée
場所名はラベルのほかの位置に書かれていて
Appellation Côntrolée
とだけ記されていることもあります。
(2) IGPに相当
Vin de Pays ヴァン・ド・ペィ(地ワインの意味)
この表記の後ろに認定地域の名前が表示されます。
なお、フランスでは 2011年10月までに Vin de Pays からEUの定める IGP への移行を完了しました。
◆イタリア
(1) AOPに相当
まず AOP のことをイタリア語では DOP と呼びます。
DOP = Denominazione di Origine Protetta
意味は AOP と同じく「原産地呼称保護」です。
そして DOP が次の2段階に分かれています。
DOC = Denominazione di Origine Controllata (原産地統制呼称)
DOCG = Denominazione di Origine Controllata e Garantita (保証付き原産地統制呼称)
これら2つはイタリアの伝統的な格付けで、
DOCG は DOC より高ランクとされています。
イタリアではDOP表示でもDOCG/DOC表示でも両方を表示してもよいことになっています。
たとえば Barolo はもともとDOCGワインですが、
DOP Barolo と書いても
DOCG Barolo と書いても
DOCG/DOP Barolo と書いてもよいということです。
(2) IGPに相当
IGT = Indicazione Geografica Tipica (地域特性表示ワイン)
この表記とともに認定地域の名前が表示されます。
◆スペイン
(1) AOPに相当
まず AOP のことをスペイン語では DOP と呼びます。
DOP = Denominación de Origen Protegida
意味は AOP と同じく「原産地呼称保護」です。
スペインのもともとの格付け法は少々複雑ですが、
DOP は大まかに言って次の2段階に分かれます。
DO = Denominación de Origen (原産地呼称)
DOCa = Denominación de Origen Calificada (特選原産地呼称)
DOCa は DO よりも高ランクで、現在リオハ Rioja とプリオラート Priorat の2地域しかありません。
(2) IGPに相当
Vino de la Tierra
この表記の後ろに認定地域の名前が表示されます。
フランス、イタリア、スペインなどヨーロッパのワインのラベルを見て、
地域の名前の近くに上記のような文言があったら、
それは公的に保護されている産地だということです。
ヨーロッパ以外、たとえばアメリカ合衆国にも指定された産地であることを示す文言があります。
それは AVA (American Viticaltural Area)という文言です。
しかしヨーロッパの原産地統制呼称とは異なり、AVAは産地の境界線を定めるのみで、品質や栽培・醸造に関する規定がありません。
また、AVAという文言がワインのラベルに書かれていることも、ほとんどありません。
オーストラリアにも GI (Geographical Indications)という地理的呼称制度がありますが、やはりラベルにも書かれていません。
それにヨーロッパの AOP と IGP のように2段階に分けることもしていません。
やはり伝統や厳格さの面でも、ヨーロッパの原産地統制呼称制度には、ヨーロッパ人の思いや本気度が込められているような気がしますね。

前回は、ヨーロッパの「地理的表示付きワイン」にはEUが新たに制定した
(1) AOP(原産地呼称保護) または
(2) IGP(地理的表示保護)
というラベル表示がされているはずだけど、
実際にはこれらの表示を使っているものはまだ少なく、
各国でもともと定めていた表示法がいまも続いている、というお話をしました。
では、EUの定める AOP、IGP という新たな表示法を使用する代わりに、
フランス、イタリア、スペインのワインラベルではどのような表示法がいまでも多く使われているのか、具体的にまとめてみました。

▲フランスワインのラベル表示
◆フランス
(1) AOPに相当
AOC = Appellation d'Origine Côntrolée (原産地統制呼称)
Origine の部分に具体的な場所名が入ったり、
(例)Appellation Musigny Côntrolée
場所名はラベルのほかの位置に書かれていて
Appellation Côntrolée
とだけ記されていることもあります。
(2) IGPに相当
Vin de Pays ヴァン・ド・ペィ(地ワインの意味)
この表記の後ろに認定地域の名前が表示されます。
なお、フランスでは 2011年10月までに Vin de Pays からEUの定める IGP への移行を完了しました。
◆イタリア
(1) AOPに相当
まず AOP のことをイタリア語では DOP と呼びます。
DOP = Denominazione di Origine Protetta
意味は AOP と同じく「原産地呼称保護」です。
そして DOP が次の2段階に分かれています。
DOC = Denominazione di Origine Controllata (原産地統制呼称)
DOCG = Denominazione di Origine Controllata e Garantita (保証付き原産地統制呼称)
これら2つはイタリアの伝統的な格付けで、
DOCG は DOC より高ランクとされています。
イタリアではDOP表示でもDOCG/DOC表示でも両方を表示してもよいことになっています。
たとえば Barolo はもともとDOCGワインですが、
DOP Barolo と書いても
DOCG Barolo と書いても
DOCG/DOP Barolo と書いてもよいということです。
(2) IGPに相当
IGT = Indicazione Geografica Tipica (地域特性表示ワイン)
この表記とともに認定地域の名前が表示されます。
◆スペイン
(1) AOPに相当
まず AOP のことをスペイン語では DOP と呼びます。
DOP = Denominación de Origen Protegida
意味は AOP と同じく「原産地呼称保護」です。
スペインのもともとの格付け法は少々複雑ですが、
DOP は大まかに言って次の2段階に分かれます。
DO = Denominación de Origen (原産地呼称)
DOCa = Denominación de Origen Calificada (特選原産地呼称)
DOCa は DO よりも高ランクで、現在リオハ Rioja とプリオラート Priorat の2地域しかありません。
(2) IGPに相当
Vino de la Tierra
この表記の後ろに認定地域の名前が表示されます。
フランス、イタリア、スペインなどヨーロッパのワインのラベルを見て、
地域の名前の近くに上記のような文言があったら、
それは公的に保護されている産地だということです。
ヨーロッパ以外、たとえばアメリカ合衆国にも指定された産地であることを示す文言があります。
それは AVA (American Viticaltural Area)という文言です。
しかしヨーロッパの原産地統制呼称とは異なり、AVAは産地の境界線を定めるのみで、品質や栽培・醸造に関する規定がありません。
また、AVAという文言がワインのラベルに書かれていることも、ほとんどありません。
オーストラリアにも GI (Geographical Indications)という地理的呼称制度がありますが、やはりラベルにも書かれていません。
それにヨーロッパの AOP と IGP のように2段階に分けることもしていません。
やはり伝統や厳格さの面でも、ヨーロッパの原産地統制呼称制度には、ヨーロッパ人の思いや本気度が込められているような気がしますね。
