バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。
赤ワインの原料となる黒ブドウ品種のうち、国際的な品種とまではいえないけれど特定の地域で個性を発揮するローカルヒーロー。
前回までネッビオーロ、サンジョベーゼ、テンプラニーリョについて書きました。
今回は、原産地はヨーロッパながら現在はアメリカ大陸で主役となっているブドウ品種を2つ、取りあげます。
ジンファンデルとマルベックです。
◆ジンファンデル◆
ジンファンデルはカリフォルニアで最も古くから栽培されているブドウ品種のひとつです。
アメリカを象徴するブドウ品種として愛されています。

▲ディレクターズカット・ジンファンデルは、映画ゴッドファーザーのコッポラ監督が手がけるワイン
ジンファンデルは、そのミステリアスな歴史からも注目されていました。
元来は19世紀前半にヨーロッパから輸入・移植されたブドウだったのですが、
数世代にわたる繁殖・栽培の過程の中で、もともとどこの国のなんというブドウ品種だったのか、わからなくなってしまったのです。
そして専門家の間でも、何十年もの長い間そのルーツが「謎」とされていたのです。
それが明らかになったのは、なんと21世紀に入ってからです。
DNA鑑定の技術が確立されたおかげで、ジンファンデルのルーツは、東欧クロアチアのツールイェナック・カシュテランスキという舌を噛みそうな名前のブドウであることが証明されました。
ちなみにこのツールイェナック・カシュテランスキというブドウは、イタリア南部プーリア州にも移植され、いまでもプリミティーヴォという名前で栽培されています。
ですからジンファンデルとプリミティーヴォは遺伝子的に同じブドウ品種だということです。
ジンファンデルは色が濃く味わいにもコクのある赤ワインです。
アルコール感が豊富で、タンニンは中程度です。
ブラックベリーやラズベリーを思わせる香りとともに、ややスパイシーな香りと風味を伴います。
このスパイシーさはコショウというより、ぼくにはドクターペッパー(コカコーラの自販機で売られている薬品っぽい風味のする炭酸飲料)のように感じられます。
口当たりや味わいに若干ジャムのようなニュアンスも感じます。
濃厚な赤ワインが中心ですが、なかにはカジュアルな若飲みタイプで比較的ライトボディのものもあります。
逆に長期熟成を意図して造られた、タンニン豊富で骨格のしっかりした高級ワインもあります。
ジンファンデルには、ホワイト・ジンファンデルと呼ばれる中甘口のロゼワインもあります。
◆マルベック◆
マルベックはフランスのボルドー地方が原産地ですが、いまではフランス南西地方のカオール Cahors という産地で重要なブドウです。
しかし現在、マルベックはアルゼンチンの代表的なブドウ品種としてのほうが有名です。

▲カオールはフランス南西地方のワイン
マルベックは非常に色の濃い、強靭なタンニンを伴うワインになります。
スパイシーかつダークチェリーのような香りと風味を伴います。
標高が高くて日照量が豊富なアルゼンチンのメンドーサ地方で造られるワインは、フランスのものに比べるとタンニンは若干穏やかで(それでもタンニン豊富ですが)、むしろ果実風味の濃厚さが前面に出たスタイルになる傾向があります。
ヨーロッパをルーツとするこれらのブドウは、何世代も前に遠いアメリカ大陸にたどり着き、かたやカリフォルニア、かたやアルゼンチンの大地で、たくましく活躍しているのですね。
なんだかロマンを感じませんか?

赤ワインの原料となる黒ブドウ品種のうち、国際的な品種とまではいえないけれど特定の地域で個性を発揮するローカルヒーロー。
前回までネッビオーロ、サンジョベーゼ、テンプラニーリョについて書きました。
今回は、原産地はヨーロッパながら現在はアメリカ大陸で主役となっているブドウ品種を2つ、取りあげます。
ジンファンデルとマルベックです。
◆ジンファンデル◆
ジンファンデルはカリフォルニアで最も古くから栽培されているブドウ品種のひとつです。
アメリカを象徴するブドウ品種として愛されています。

▲ディレクターズカット・ジンファンデルは、映画ゴッドファーザーのコッポラ監督が手がけるワイン
ジンファンデルは、そのミステリアスな歴史からも注目されていました。
元来は19世紀前半にヨーロッパから輸入・移植されたブドウだったのですが、
数世代にわたる繁殖・栽培の過程の中で、もともとどこの国のなんというブドウ品種だったのか、わからなくなってしまったのです。
そして専門家の間でも、何十年もの長い間そのルーツが「謎」とされていたのです。
それが明らかになったのは、なんと21世紀に入ってからです。
DNA鑑定の技術が確立されたおかげで、ジンファンデルのルーツは、東欧クロアチアのツールイェナック・カシュテランスキという舌を噛みそうな名前のブドウであることが証明されました。
ちなみにこのツールイェナック・カシュテランスキというブドウは、イタリア南部プーリア州にも移植され、いまでもプリミティーヴォという名前で栽培されています。
ですからジンファンデルとプリミティーヴォは遺伝子的に同じブドウ品種だということです。
ジンファンデルは色が濃く味わいにもコクのある赤ワインです。
アルコール感が豊富で、タンニンは中程度です。
ブラックベリーやラズベリーを思わせる香りとともに、ややスパイシーな香りと風味を伴います。
このスパイシーさはコショウというより、ぼくにはドクターペッパー(コカコーラの自販機で売られている薬品っぽい風味のする炭酸飲料)のように感じられます。
口当たりや味わいに若干ジャムのようなニュアンスも感じます。
濃厚な赤ワインが中心ですが、なかにはカジュアルな若飲みタイプで比較的ライトボディのものもあります。
逆に長期熟成を意図して造られた、タンニン豊富で骨格のしっかりした高級ワインもあります。
ジンファンデルには、ホワイト・ジンファンデルと呼ばれる中甘口のロゼワインもあります。
◆マルベック◆
マルベックはフランスのボルドー地方が原産地ですが、いまではフランス南西地方のカオール Cahors という産地で重要なブドウです。
しかし現在、マルベックはアルゼンチンの代表的なブドウ品種としてのほうが有名です。

▲カオールはフランス南西地方のワイン
マルベックは非常に色の濃い、強靭なタンニンを伴うワインになります。
スパイシーかつダークチェリーのような香りと風味を伴います。
標高が高くて日照量が豊富なアルゼンチンのメンドーサ地方で造られるワインは、フランスのものに比べるとタンニンは若干穏やかで(それでもタンニン豊富ですが)、むしろ果実風味の濃厚さが前面に出たスタイルになる傾向があります。
ヨーロッパをルーツとするこれらのブドウは、何世代も前に遠いアメリカ大陸にたどり着き、かたやカリフォルニア、かたやアルゼンチンの大地で、たくましく活躍しているのですね。
なんだかロマンを感じませんか?
