バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

赤ワイン用のブドウ品種として、
カベルネ・ソーヴィニヨンメルローピノ・ノワールシラーという4つの国際品種を紹介してきましたが、国際的な栽培にはそれほど適さないブドウ品種もあります。

そのようなブドウにとっては、本拠地以外の地域では生育条件が理想的ではないからですが、
本拠地では最高のパフォーマンスを発揮し、ものすごく面白いワインになるブドウもあります。

「国際的赤ワイン」のある意味 ”標準的” な味わいとは異なり、その土地ならではの素晴らしい個性を表現できる「ローカルヒーロー」とでも呼ぶべきブドウです。

今回から、そうした黒ブドウをいくつか紹介していきましょう。


◆ネッビオーロ◆

ネッビオーロは、ぼくにとってピノ・ノワールと同じくらい大好きなブドウ品種です。
色調は淡くエレガントな外観なのに、味わいはとてもパワフルなワインになります。

barolo_prunotto_bussia
 ▲バローロ(プルノット社Bussia)~ オレンジがかった色調が美しく味わいは力強い


イタリア北西部ピエモンテ州がネッビオーロの本拠地です。

ネッビオーロはたんに優秀なワインを造れるだけでなく、
バローロ」と「バルバレスコ
という卓越した品質の2大ワインがあります。

この2つのワインが、正しい生育環境のもとでは、ネッビオーロがいかに物凄いワインを造り出すことができるのかを証明しています。

バローロは「イタリアワインの王様」とも呼ばれる偉大なワインです。
バルバレスコはバローロの弟分といわれますが、
品質がピンキリの傾向があるバローロより安定していて、口当たりも若干エレガントなものが多いです。

ネッビオーロはタンニン、酸味とも豊富で、ワインは骨格がしっかりしています。
同時にアルコール度数も高くなりやすく、それがワインの口当たりを和らげます。

ネッビオーロはワインが非常に若いうちは濃い紫色をしていますが、
2~3年もするとオレンジがかった色調が現れてきます。

香りが非常に複雑で、様々な香りの要素を持っています。

ブラックベリー、ブラックチェリーのような黒系果実の香りとともに、
干しプラム、乾燥イチジクといったドライフルーツを思わせる香りがするのがネッビオーロの特徴です。

また土のようなニュアンス、鉄のようなニュアンス、タール、トリュフ、バラといった香りも感じられます。
さらに熟成すると腐葉土、紅茶、なめし革といった香りも出てきます。

バローロやバルバレスコばかりでなく、若飲みタイプのお手頃ネッビオーロもあります。
ネッビオーロ・ダルバ Nebbioro d'Alba とかランゲ Langhe といった地名がラベルに書かれているものです。

バローロやバルバレスコはあまり若く飲むよりも、すこし熟成せさせたほうが良いでしょう。
できれば8年、最低でも5年くらいは寝かしたもののほうが、その真価を味わうことができると思います。

見た目も香りも味わいも楽しめるワイン・・・いいネッビオーロのワインに出合ったら、きっと好きになると思いますよ!

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