バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。
一般的な「良いワインの基準」は、ワインの持つバランス、持続性、深み、複雑さ、余韻、産地らしさ(ティピシティ)などの要素から成り立っており、前回はこれらのうちバランスについてお話しました。
今回は、バランス以外の要素について書いてみます。
▲ヴォルネイで200年にわたりワイン造りを行うマルキ・ダンジェルヴィルのワインには「ティピシティ」が感じられた
●持続性
持続性が長いワインとは、口の中にまんべんなく味わいが広がり、それがずっと続くような印象を与えるワインのことです。
テイスティングしたときに、舌全体に味わいが行きわたる前に途中で終わってしまうようなワインではなく、じっくりと舌全体にわたって味わいが感じられます。
昨今のワインは味わいの面で「短期集中型」のものが多いと思います。
口に含むとすぐに、果実味の凝縮感やバニラみたいな樽香などの「フルボディっぽさ」がドカンと襲ってきて一瞬「おぉーっ」という印象を持ちますが、
それが最初のインパクトだけで終わってしまい、口内全体にじっくりと味わいが広がってこないワインが多いですね。
そういうワインは持続性が短い(あるいは、ない)ワインだといえます。
そのようなワインは、たいてい強すぎるアルコール感やわざとらしい樽香を伴います。
そうではなくて、しっかりとした持続性の長さを持つワインは「良いワイン」の確かな印だといってよいでしょう。
●深み
ワインの深みも、「良いワイン」を語るうえで主観的かつ測定しにくい基準のひとつです。
イメージとして言うならば、
持続性が口内での広がりや時間軸など「ヨコ」方向の長さを指すのに対して、
深みというのは「タテ」方向の長さをいいます。
これを説明するには、逆から言ったほうがわかりやすいかもしれません。
深みのないワインのことを「平板なワイン」といいますが、それは味わいが薄くて平面的なワインです。
舌にあまり重さを感じません。
深みのあるワインというのは、舌が心地よく押されるようなコクやうまみがあって、口内で立体的に感じられる味わいを持つワインのことです。
●複雑さ
シンプルで直線的なワインも、時と場合によって楽しめる場面はたくさんあります。
暖かな昼下がりにアウトドアで飲む、キリッと冷えたフレッシュ&フルーティーな白ワインは格別ですよね。
そうしたワインはきっと、いつ飲んでも同じさわやかな味わいで、ぼくらを楽しませてくれることでしょう。
しかし、一口飲むたびにそれまでとは異なる風味・味わいの印象を与えてくれるワイン、数分前・数秒前とは違った側面を見せてくれるワインもあります。
こうしたワインは複雑さのあるワインといいいます。
複雑さのあるワインは「良いワイン」です。
複雑さというコトバにも、絶対的な定義があるわけではありません。
香りや風味が単調(一面的)でなく様々な要素を持った(多面的)ワインのことを特に複雑なワインと言う専門家もいますし、
ワインが与える全体的な印象を総体的(しかし厳密ではない)・感覚的に複雑だという言い方をする人もいます。
●余韻
ワインを飲みこんだ後に口の奥のほうや喉に残る印象を余韻(または後味)といいます。
「良いワイン」は、飲み込んだ後も果実味やスパイシーさなどの風味が口内や喉で感じられます。
余韻は良いほうだけに働くとは限りません。
ワインによっては高いアルコール度数のせいで喉に熱さを感じる場合もあります。
強いタンニンのせいで喉の奥に苦味が残って感じられることもあります。
これらはどちらかというと、ネガティブな余韻です。
そもそも、飲み込んだ後は余韻も何も感じられないワインが多いのも事実です。。
●産地らしさ(ティピシティ typicity)
産地らしさを判断するためには、その前提として、産地ごとの典型的な味わいを知っておく必要があります。
ですから、主なブドウ品種のワインの味わいの特徴、世界の伝統的産地で造られるワインの特徴などの教科書的な知識が不可欠となります。
たとえばピノ・ノワールというブドウの味わいの特徴、フランス・ブルゴーニュ地方のヴォルネイという産地で造られる赤ワインの典型的な性格などを知っていて、想像できるようになっているということです。
・・・こんなことを書いていたら、ぜんぜん「気楽にワインを学ぼう!」じゃなくなってしまいますね。。 (笑)
この辺りのことについては、いまは「ワインって奥が深いんだなぁ」といった参考程度に読んでください。
でもワインのこういった部分も、教科書的な学習とテイスティングの実践にある程度の時間をかければ、誰でもわかるようになります。
ティピシティ = テロワール + ヒト だといえます。
ティピシティは、気候・地勢・土壌など畑を取り巻く自然環境(テロワール)に加えて、その産地の生産者(ヒト)の作業も影響します。
ティピシティがしっかりと表現されているワインは「良いワイン」だと言ってよいでしょう。
【関連記事】
テロワールとは「地味」のこと ~ 「このワインにはテロワールがよく表現されている」というのは、土地の風土や土地の味がワインによく反映されているという意味です
これまでも述べてきたように、自分が美味しいと感じるワインこそが「良いワイン」です。
それでも一般的な「良いワイン」の基準をあげるとするならば、
それはバランス、持続性、深み、複雑さ、余韻、産地らしさ(ティピシティ)といった要素を満たすワインのことをいうのです。
一般的な「良いワインの基準」は、ワインの持つバランス、持続性、深み、複雑さ、余韻、産地らしさ(ティピシティ)などの要素から成り立っており、前回はこれらのうちバランスについてお話しました。
今回は、バランス以外の要素について書いてみます。
▲ヴォルネイで200年にわたりワイン造りを行うマルキ・ダンジェルヴィルのワインには「ティピシティ」が感じられた
●持続性
持続性が長いワインとは、口の中にまんべんなく味わいが広がり、それがずっと続くような印象を与えるワインのことです。
テイスティングしたときに、舌全体に味わいが行きわたる前に途中で終わってしまうようなワインではなく、じっくりと舌全体にわたって味わいが感じられます。
昨今のワインは味わいの面で「短期集中型」のものが多いと思います。
口に含むとすぐに、果実味の凝縮感やバニラみたいな樽香などの「フルボディっぽさ」がドカンと襲ってきて一瞬「おぉーっ」という印象を持ちますが、
それが最初のインパクトだけで終わってしまい、口内全体にじっくりと味わいが広がってこないワインが多いですね。
そういうワインは持続性が短い(あるいは、ない)ワインだといえます。
そのようなワインは、たいてい強すぎるアルコール感やわざとらしい樽香を伴います。
そうではなくて、しっかりとした持続性の長さを持つワインは「良いワイン」の確かな印だといってよいでしょう。
●深み
ワインの深みも、「良いワイン」を語るうえで主観的かつ測定しにくい基準のひとつです。
イメージとして言うならば、
持続性が口内での広がりや時間軸など「ヨコ」方向の長さを指すのに対して、
深みというのは「タテ」方向の長さをいいます。
これを説明するには、逆から言ったほうがわかりやすいかもしれません。
深みのないワインのことを「平板なワイン」といいますが、それは味わいが薄くて平面的なワインです。
舌にあまり重さを感じません。
深みのあるワインというのは、舌が心地よく押されるようなコクやうまみがあって、口内で立体的に感じられる味わいを持つワインのことです。
●複雑さ
シンプルで直線的なワインも、時と場合によって楽しめる場面はたくさんあります。
暖かな昼下がりにアウトドアで飲む、キリッと冷えたフレッシュ&フルーティーな白ワインは格別ですよね。
そうしたワインはきっと、いつ飲んでも同じさわやかな味わいで、ぼくらを楽しませてくれることでしょう。
しかし、一口飲むたびにそれまでとは異なる風味・味わいの印象を与えてくれるワイン、数分前・数秒前とは違った側面を見せてくれるワインもあります。
こうしたワインは複雑さのあるワインといいいます。
複雑さのあるワインは「良いワイン」です。
複雑さというコトバにも、絶対的な定義があるわけではありません。
香りや風味が単調(一面的)でなく様々な要素を持った(多面的)ワインのことを特に複雑なワインと言う専門家もいますし、
ワインが与える全体的な印象を総体的(しかし厳密ではない)・感覚的に複雑だという言い方をする人もいます。
●余韻
ワインを飲みこんだ後に口の奥のほうや喉に残る印象を余韻(または後味)といいます。
「良いワイン」は、飲み込んだ後も果実味やスパイシーさなどの風味が口内や喉で感じられます。
余韻は良いほうだけに働くとは限りません。
ワインによっては高いアルコール度数のせいで喉に熱さを感じる場合もあります。
強いタンニンのせいで喉の奥に苦味が残って感じられることもあります。
これらはどちらかというと、ネガティブな余韻です。
そもそも、飲み込んだ後は余韻も何も感じられないワインが多いのも事実です。。
●産地らしさ(ティピシティ typicity)
産地らしさを判断するためには、その前提として、産地ごとの典型的な味わいを知っておく必要があります。
ですから、主なブドウ品種のワインの味わいの特徴、世界の伝統的産地で造られるワインの特徴などの教科書的な知識が不可欠となります。
たとえばピノ・ノワールというブドウの味わいの特徴、フランス・ブルゴーニュ地方のヴォルネイという産地で造られる赤ワインの典型的な性格などを知っていて、想像できるようになっているということです。
・・・こんなことを書いていたら、ぜんぜん「気楽にワインを学ぼう!」じゃなくなってしまいますね。。 (笑)
この辺りのことについては、いまは「ワインって奥が深いんだなぁ」といった参考程度に読んでください。
でもワインのこういった部分も、教科書的な学習とテイスティングの実践にある程度の時間をかければ、誰でもわかるようになります。
ティピシティ = テロワール + ヒト だといえます。
ティピシティは、気候・地勢・土壌など畑を取り巻く自然環境(テロワール)に加えて、その産地の生産者(ヒト)の作業も影響します。
ティピシティがしっかりと表現されているワインは「良いワイン」だと言ってよいでしょう。
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テロワールとは「地味」のこと ~ 「このワインにはテロワールがよく表現されている」というのは、土地の風土や土地の味がワインによく反映されているという意味です
これまでも述べてきたように、自分が美味しいと感じるワインこそが「良いワイン」です。
それでも一般的な「良いワイン」の基準をあげるとするならば、
それはバランス、持続性、深み、複雑さ、余韻、産地らしさ(ティピシティ)といった要素を満たすワインのことをいうのです。