バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。
前回お話したように、ワインはブドウ果汁を発酵させてできる液体です。
この発酵という段階がワイン造りのなかで大きな役割を果たしています。
発酵がなければワインはできず、ただのブドウジュースとなります。
ワインのアルコール発酵は本来、完全に自然のなせるワザです。
ブドウをステンレスタンクのような容器に入れることと、
ブドウから果汁を得ること以外は、人手の介在をまったく必要としません。
▲発酵用のステンレスタンク(カリフォルニア/ソノマにて)
ブドウに限らず、たとえば牛乳にもブドウとは異なる種類の糖分が含まれているので、
牛乳を2~3日台所にでも放置しておけば、勝手にアルコール発酵が生じて少量のアルコールが発生します。
19世紀に酵母による発酵のメカニズムを解明したのは、ルイ・パストゥールという人です。
これは「発明」ではなくあくまで「発見」ですね。
地球上の酵母たちはルイ・パストゥールが生まれる何万年(何億年?)も前から、身の回りの糖分を食べてアルコールを発生させていたのですから。
ブドウの場合、アルコール発酵のために活躍する酵母はブドウの果皮についています。
こういう自然の酵母を天然酵母といい、
その土地その場所それぞれに住み着いており、
人工的に培養した酵母よりも、その土地独特の味わいが出やすくなります。
アルコール発酵は酒造りの世界では「醸造」と呼ばれ、
醸造して造られるお酒のことを「醸造酒」と呼びます。
身近な醸造酒の代表例は、ワイン、ビール、日本酒です。
醸造酒の公式(アルコール発酵を単純化した図)は下図のようになります。
酵母が糖分を食べて、排泄物としてアルコールと二酸化炭素を出すのです。
この公式は、ワインだけでなくビールや日本酒でもあてはまります。
ただし、
原料がブドウ → ワイン
であるのに対して、ビールや日本酒は
原料が大麦 → 糖化 → ビール
原料がコメ → 糖化 → 日本酒
というように、糖化という工程を間に入れる必要があります。
ブドウがそれ自体に水分と甘い糖分を含んでいますが、
大麦やコメはそうではないので、水を加えて「甘い液体」にさせるために
糖化というステップが必要になるのです。
この糖化というプロセスがあるために、
ビールや日本酒はワインに比べると土壌の味が出にくいといえます。
逆に言えば、ワインはブドウそのものからシンプルな造り方でできるので、
ワインは土地や土壌の個性が出やすいお酒
になるのです。
ところで、もしもワイン生産者がみんな上記のような自然任せの発酵方法でワインを造っていたとしたら、
ワインなんて、なんの美味さも感動もないどうでもいい飲み物にすぎなかったでしょうし、
ぼくも、ワインのことをわざわざブログに書こうなんていう気にもならなかったことでしょう(笑)
そうです。
世界中のワイン生産者は、美味しいワインを造るために、発酵を上手にコントロールするノウハウやテクニックを持っているのです。
それが、生産者が違えばワインの味わいも違ってくる理由のひとつです。
たとえば、
・ 発酵の工程で用いる容器のタイプを使い分けたり(ステンレス製とか木の樽とか)
・ 容器のサイズを使い分けたり
・ 発酵中のブドウ果汁の温度をコントロールしたり
・・・といった選択次第で、結果的にできるワインの味わいもずいぶん違ったものになります。
発酵させた後でも、生産者は
・ できたワインをどのくらいの期間、熟成させるか
・ その熟成をどのような容器で行うか
といったテクニックの選択が可能です。
▲熟成用の木樽(カリフォルニア/ソノマにて)
3日間発酵させて造るワインもあれば、3ヶ月発酵させて造るワインもあります。
2~3週間熟成させるワインもあれば、数年間熟成させるワインもあります。
どれにするか選んだり、どうするか決めたりすることが苦手なタイプの人は、
ワイン造りには向いていないかもしれませんね(笑)
ぼくたちのワインセミナーでも、いろいろワインのお話をしています。
少人数で気軽にワインの基本が学べるアットホームな
バイザグラスのワインセミナーにもぜひ来てみてください!
前回お話したように、ワインはブドウ果汁を発酵させてできる液体です。
この発酵という段階がワイン造りのなかで大きな役割を果たしています。
発酵がなければワインはできず、ただのブドウジュースとなります。
ワインのアルコール発酵は本来、完全に自然のなせるワザです。
ブドウをステンレスタンクのような容器に入れることと、
ブドウから果汁を得ること以外は、人手の介在をまったく必要としません。
▲発酵用のステンレスタンク(カリフォルニア/ソノマにて)
ブドウに限らず、たとえば牛乳にもブドウとは異なる種類の糖分が含まれているので、
牛乳を2~3日台所にでも放置しておけば、勝手にアルコール発酵が生じて少量のアルコールが発生します。
19世紀に酵母による発酵のメカニズムを解明したのは、ルイ・パストゥールという人です。
これは「発明」ではなくあくまで「発見」ですね。
地球上の酵母たちはルイ・パストゥールが生まれる何万年(何億年?)も前から、身の回りの糖分を食べてアルコールを発生させていたのですから。
ブドウの場合、アルコール発酵のために活躍する酵母はブドウの果皮についています。
こういう自然の酵母を天然酵母といい、
その土地その場所それぞれに住み着いており、
人工的に培養した酵母よりも、その土地独特の味わいが出やすくなります。
アルコール発酵は酒造りの世界では「醸造」と呼ばれ、
醸造して造られるお酒のことを「醸造酒」と呼びます。
身近な醸造酒の代表例は、ワイン、ビール、日本酒です。
醸造酒の公式(アルコール発酵を単純化した図)は下図のようになります。
酵母が糖分を食べて、排泄物としてアルコールと二酸化炭素を出すのです。
この公式は、ワインだけでなくビールや日本酒でもあてはまります。
ただし、
原料がブドウ → ワイン
であるのに対して、ビールや日本酒は
原料が大麦 → 糖化 → ビール
原料がコメ → 糖化 → 日本酒
というように、糖化という工程を間に入れる必要があります。
ブドウがそれ自体に水分と甘い糖分を含んでいますが、
大麦やコメはそうではないので、水を加えて「甘い液体」にさせるために
糖化というステップが必要になるのです。
この糖化というプロセスがあるために、
ビールや日本酒はワインに比べると土壌の味が出にくいといえます。
逆に言えば、ワインはブドウそのものからシンプルな造り方でできるので、
ワインは土地や土壌の個性が出やすいお酒
になるのです。
ところで、もしもワイン生産者がみんな上記のような自然任せの発酵方法でワインを造っていたとしたら、
ワインなんて、なんの美味さも感動もないどうでもいい飲み物にすぎなかったでしょうし、
ぼくも、ワインのことをわざわざブログに書こうなんていう気にもならなかったことでしょう(笑)
そうです。
世界中のワイン生産者は、美味しいワインを造るために、発酵を上手にコントロールするノウハウやテクニックを持っているのです。
それが、生産者が違えばワインの味わいも違ってくる理由のひとつです。
たとえば、
・ 発酵の工程で用いる容器のタイプを使い分けたり(ステンレス製とか木の樽とか)
・ 容器のサイズを使い分けたり
・ 発酵中のブドウ果汁の温度をコントロールしたり
・・・といった選択次第で、結果的にできるワインの味わいもずいぶん違ったものになります。
発酵させた後でも、生産者は
・ できたワインをどのくらいの期間、熟成させるか
・ その熟成をどのような容器で行うか
といったテクニックの選択が可能です。
▲熟成用の木樽(カリフォルニア/ソノマにて)
3日間発酵させて造るワインもあれば、3ヶ月発酵させて造るワインもあります。
2~3週間熟成させるワインもあれば、数年間熟成させるワインもあります。
どれにするか選んだり、どうするか決めたりすることが苦手なタイプの人は、
ワイン造りには向いていないかもしれませんね(笑)
ぼくたちのワインセミナーでも、いろいろワインのお話をしています。
少人数で気軽にワインの基本が学べるアットホームな
バイザグラスのワインセミナーにもぜひ来てみてください!