早稲田ワインアカデミー

ワインに興味はあるけれど、ワインって何だかムズカシそう・・・
ワインを楽しむのに必ずしも知識は要りません。
でもワインの基本を知ると、ワインがもっと楽しくなります。
ブログ「早稲田ワインアカデミー」は、ワイン初心者の方にもワインをよく飲む方にも
気軽にお読みいただける、オンライン・ワイン教室です。

​バイザグラスの初拠点となる【神楽坂ワインハウス by the glass】
2018年11月にオープンしました!
神楽坂ワインハウス バイザグラス
https://www.bytheglass.jp/

白ワインは、さっさとブドウの実をつぶして皮や種を捨ててしまい、 ブドウ果汁のみを発酵させて造ります

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

白ワインの醸造の特徴は、
発酵の前にブドウ果実の圧搾を行なうことです。

つまり、さっさとブドウの実をつぶして皮や種を捨ててしまい、
ブドウ
果汁のみを発酵させるわけです。

それでは順を追って白ワインの造り方を見ていきましょう。

1.除梗(じょこう)

ブドウを収穫したら、まず果梗から果粒を取り外します。

2.破砕

果肉からジュースを絞り出すことを容易にするために、果粒の皮を軽く破ります。

ブドウの粒を、お祭りの屋台で売っている、水の入ったゴム製ヨーヨーに見立てて考えてみてください。
表面のゴムに軽く穴を開けると中から水が滴ってきますよね。

それと同じように、ブドウの粒からブドウ果汁が出てきます。

3.圧搾

破砕してはじめに自然に流出してくる果汁をフリーランジュースといいます。

さらにその果粒を圧搾機にかけてつぶして果汁を搾り出します。
これをプレスジュースといいます。

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 ▲山梨・勝沼 シャンモリワインの圧搾機

フリーランジュースのほうがプレスジュースよりも雑味がなく、ピュアな味わいの果汁です。

圧搾機で軽い圧力で搾り出されたプレスジュースはフリーランジュースに混ぜられますが、
そのあと強い圧力で搾り出されたプレスジュースはワイン造りには用いられません。

4.発酵

そして、果汁をアルコール発酵させます。
アルコール発酵を単純化した図を見てみましょう。

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糖分を含む液体(すなわちブドウ果汁)の中に含まれる糖分を酵母が食べて、
排泄物としてアルコールと二酸化炭素を出すのです。

【関連記事】
ワインは土地の個性が出やすいお酒 ~ 酵母のチカラがなければワインはただのブドウジュースです


この二酸化炭素は空気中に逃げていきます。
これを逃さずに液体中に閉じ込めるのがスパークリングワインです。

発酵させるときの容器は、白ワインの場合はステンレスタンクを用いることがほとんどです。
赤ワインの場合は木製タンクや木樽を使うこともあります。

こうして1週間から1ヶ月くらいでブドウジュースがワインに変わります

なお、このあと白ワインの種類によっては、口当たりをまろやかにするための発酵(マロラクティック発酵といいます)を行なうこともあります。

5.熟成

発酵してできあがったワインを別のタンクか樽に移し替えて、しばらく静置します。

こうして寝かしておくことで、ワインの中に含まれる不純物が下のほうに沈殿していき(オリといいます)、ワインが落ち着いてきます。
ワインのバランスや風味が向上します。

6.オリ引き(澱引き)

熟成の間にオリが底に沈殿したら、上澄みの部分を別の容器に移し替えます。
これをオリ引きといいます。

7.清澄

できあがったばかりのワインには不純物がいっぱい残っています。
澱引きしても、軽い不純物がまだ少し残ってワインの液面や液内に浮かんでいます。
こうしたオリを強制的に下に落としていく作業を清澄といいます。

その方法は、ゼラチンとか卵白のようなネバネバした物体をワインの中に入れて、この物体にオリがくっつき、一緒に容器の底に落ちていくという仕組みです。

8.ろ過

清澄してもなお残っているオリを、フィルターにかけたり遠心分離機にかけたりして取り除きます。

なお、清澄とろ過はワインの品質安定を図るための大切な工程ですが、ワインに必要な風味成分まで取り除いてしまうとの批判もあります。
そのため、あえて清澄・ろ過をしないでワインを瓶詰めする生産者もいます。
そうしたワインはうまみ成分が残りやすい反面、少々濁った外観をしており、微生物による変質のリスクも高まります。

9.瓶詰め

こうしてワインはようやく瓶に充填され、コルクの打栓やラベル貼付が行なわれ、箱詰めされて出荷されます。

いかがでししょうか。
目の前にある白ワインもこうして手を掛けて造られてきたんだって考えると、より一層、愛着がわいてきますよね。

最近白ワインづいているぼくですが、これを書いていたら今日も白ワインが飲みたくなってきました!

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春の訪れは、白ワインが美味しい季節の訪れですね ~ 白ワインは酸味が大事なんです

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

4月に入って暖かい日が増えてきました。
桜ももう少しで満開に・・・
春の訪れは、白ワインが美味しい季節の訪れですね。

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 ▲近所の神田川沿いは桜の名所になっています

白ワインは白ブドウから造られます。

白ワインでは「酸味がどのようなものか」がポイントとなります。
白ワインは、大まかに言えば、
  • 酸っぱいワイン(酸味が豊か: サッパリ系)
  • それほど酸っぱくないワイン(酸味がおだやか: コクあり系)
のどちらかに分けられます。

どちらにしても、赤ワインと比べて軽い味わいのシンプルなものが多いといえます。
それはなぜかというと、
白ワインはブドウの果汁のみを使って造るからです。

赤ワインはぶどうの果皮も種も使って造るので、
白ワインに比べると香りや味わいの要素が多くなります。

逆に、白ワインは赤ワインに比べてシンプルな分、
味わい全体を引き締める酸味の役割が重要となります。

暖かい季節に白ワインを飲むと美味しく感じるのは、
この酸味が爽快感や一種の冷涼感につながるからなのですね。

赤白問わず、ワインは軽ければ軽いほど低い温度で飲むのが基本です。

  • さっぱり系の白ワインは6℃~10℃位で
  • コクのある白ワインは10℃~14℃位で
飲むのがよいでしょう。

ところで、赤ワインは種から渋味成分(タンニン)が出てきます。
この渋味成分による抗酸化作用があります。
ですから赤ワインは白ワインよりも痛みにくく、長期の熟成に耐えることができます。

いっぽう白ワインはタンニンが少ないので、抗酸化作用は赤ワインに比べると低くなり、少々デリケートで痛みやすいです。
そのため、白ワインは赤ワインに比べてあまり長期熟成しないという特徴があります。

しかし渋味成分だけでなく、強い甘みや強い酸味には、やはり抗酸化作用があります。
したがって、糖分や酸味の強い甘口の白ワインは長持ちします

たとえばフランス・ボルドー地方のソーテルヌの貴腐ワイン、
ドイツ・ラインガウ地方やモーゼル地方の高級リースリングなどは、
何十年もの熟成に耐えることができます。
なかには80年寝かせることができるものもあります。

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 ▲ソーテルヌの最高級甘口ワイン「シャトー・ディケム」

酸味について言えば、冷涼な産地であるほど酸味が高くなります
温暖な地域に比べて日照の絶対量が少ないため、
光合成があまり働かず、酸味に比べて糖分が少なめになるからです。
温暖な産地であるほど酸味は低くなります。

白ワインは、どちらかといえば酸味が豊かな方が好まれる傾向があります。
逆に赤ワインは、あまりに酸味が際立つものは好まれない傾向があります。

そのため、白ワインの多くは冷涼な産地で造るのに向いているワインだといえます。
フランスのロワール地方、シャンパーニュ地方、アルザス地方、ブルゴーニュ地方の北部、ドイツ、オーストリア、ニュージーランドなどですね。

バイザグラスの「お気楽ワインセミナー」白ワイン編では、異なる白ワインを飲み比べしながら品種ごとの特徴を学ぶことができます。
ぜひご参加ください!

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和食にも合うし日本人好みのワインですね ~ オーストリアを代表する白ワイン「グリューナー・フェルトリーナー」はとてもクールでファッショナブル!

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ここ数日は仕事してばかりだったので、今晩は少しリラックスして家でゆっくりワインを楽しみました。

今日選んだのは、オーストリアを代表する白ブドウ
グリューナー・フェルトリーナーのワインです。

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 ▲グリューナー・フェルトリーナーはオーストリアを代表する白ブドウ

とてもクールでファッショナブル!

白い花のような華やかな香りはややリースリングに似ています。
あと、アロエのような香りも感じられます。

溌剌とした酸味が持続し、青リンゴのような果実味があります。
キリっとドライでエレガントな味わいでした。

ヨーロッパでは人気の品種ですが、日本ではまだそれほど一般的ではないかもしれません。
でも和食にも合うし、日本人はこういう白ワイン、きっと好きだと思いますよ。

今日はこの辺で失礼します!

【関連記事】オーストリアのワインは進化しています ~ 甘口ワインが有名でしたが、現在はグリューナー・フェルトリナー種の辛口白ワインを国を挙げて世界中に売り出しています


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人生いろいろ、白ワインもいろいろ ~ つまらない白ワインなんてありません

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

これからの暖かい季節、白ワインを飲む機会も増えるかもしれませんね。

みんなでワイワイがぶ飲みする軽快な白ワイン、
結婚式でオマール海老などとともに味わうコクのある白ワイン。

白ワインにもいろいろなタイプがあります。

白ワインは、大きく3つのカテゴリーに分類することができます。
(スパークリングワインとデザートワインは外して考えます。)

1.フレッシュでシンプルな白ワイン

口当たりやのど越しがさわやかで、軽めの白ワインです。
熟成させるよりも、若飲みするシンプルな味わいの白ワインです。
安価なものはガブ飲み向きです。
  • ほとんどのイタリアの白ワイン(ソアーヴェやガヴィが有名)、
    フランスならシャブリやロワール地方のミュスカデ、ものによってはサンセールなどです。
  • このカテゴリーには、シンプルでも中程度の重みがあったり、ほんの少しだけ木樽の風味が感じられるワインもあります。
    たとえばフランス・ブルゴーニュ地方のマコンなどです。

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 ▲ガヴィはイタリア・ピエモンテ州のスッキリ系白ワイン


2.アロマティックな白ワイン

ブドウ由来の香りや風味の個性が生き生きと現れるワインです。
ブドウ品種が想像できるような豊かな芳香と味わいが特徴的で、
辛口が基本ですがものによっては若干の甘みを感じることもあります。
  • ソービニヨン・ブラン種のワイン(柑橘系や青草のような香りが強い:フランス・ロワール地方のサンセール、プイィ・フュメなど、ニュージーランドのものなど)
  • リースリング種のワイン(白い花や青リンゴのような香りが強い:フランス・アルザス地方はほぼ辛口だが、ドイツのものは中甘口が多い)
  • ゲヴュルツトラミネール種のワイン(ライチやバラのような芳香が力強く、辛口でもやや甘みを感じることが多い)
  • ヴィオニエ種のワイン(フランス・ローヌ地方で造られる、黄色い花を思わせるような芳香のワイン)

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 ▲アロマティックなアルザス地方のリースリング


3.リッチでフルボディの白ワイン

リッチとは口当たりや味わいにコクがあること、
ボディとはワインの重さ
をいい、
フルボディとはリッチで重いワインのことをいいます。

このカテゴリーに入るワインは木樽で熟成させることが多く、
ワインも木樽の香りや風味がきいている白ワインです。

木樽の香りのことを樽香といい、
樽香の顕著なワインのことを、俗に「樽がきいている」と表現します。

つまり、このカテゴリーには樽がきいている白ワインが多いです。

木樽から来る、文字通り木のような香りやバニラのような香りがほんのりとします。
また口当たりがまろやかで、バターとかハチミツを連想させるような風味もあります。

ほとんどがシャルドネ種から造られる白ワインです。
フランス、アメリカ、チリ、オーストラリア・・・国を問わずどこでもシャルドネ種のワインは造られており、たいてい樽香を伴います。

白ワインで樽香がしたら十中八九シャルドネ!と考えて間違いないでしょう。
  • フランス・ブルゴーニュ地方にはモンラッシェやコルトン・シャルルマーニュを筆頭に高級ワインも多く、ムルソー、ピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェといった村の白ワインが有名です。
  • シャブリでも、グランクリュ(特級畑)クラスになると樽香をともなうフルボディのものがあります。
  • アメリカ・カリフォルニア州のキスラーなども非常にフルボディな白ワインです。
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 ▲フルボディで樽のきいたブルゴーニュ地方のムルソー

白ワインにも、いろいろなタイプがあるのですね。

バイザグラスのワインセミナーでは「白ワイン飲み比べ」という講座もあります。
比較試飲することで、白ワインのブドウ品種ごとの特徴とその違いが体感できます。

いろいろな白ワインに興味のある方は、ぜひ参加してみてくださいね!

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ホントは白くないぞ、白ワイン!

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

子供の頃、緑色の野菜はキライっなどといって好き嫌いをすると親から叱られたものです。
でもワインなら色の好き嫌いをしてもいいんだって知ると、心の中の童心がわくわくしてきませんか。

ワインには白ワイン、赤ワイン、ロゼワインなど色の種類があります。
今回は白ワインについてお話します。

白ワインをじーっとよく見てみましょう。

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 ▲スペイン・リアスバイシャスの白ワイン(アルバリーニョ種)

ん?・・・白くない!ですよね(笑)

どちらかとうと、黄色みのほうが強くないですか?

でも、ずっと昔から「白ワイン」と呼んでいますので、ぼくらも「白ワイン」という言葉を使うことにしましょう。

白ワインとは、色に赤みのないワインです。
淡いピンク色のロゼワインは白ワインではありません。
でも黄色みがかったワインや金色がかったワインや水のように淡い色のワインなどは、みんな白ワインと呼ばれます。

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 ▲山梨・勝沼の白ワイン(甲州種)

白ワインは白ブドウから造られます
でも、白ブドウといっても実際には白くないです。
だいたい果皮が緑色か、緑がかった黄色か、金色がかった黄色か、ものによっては薄く紫がかった色(甲州など)のブドウです。

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 ▲シャルドネ種(左)と甲州種(右)

ともかく白ブドウとは、真紅色や暗紅色や黒みがかった紫色の果皮をもたないブドウのことを指します。
そして、白ブドウから造られたワインのことを白ワインといいます。

白ワインはどんな場面でも気軽に楽しむことができます。
  • 白ワインは食事なしでもワインだけで楽しめます。
    あるいは魚、鶏肉、野菜、軽食など重くない食事と一緒に飲むことが多いです。
    (ワインと食事の組み合わせや白ワインに合わせる食べ物については、そのうち別途書いてみようと思います。)
  • 白ワインを食前酒のひとつとして位置づけることもあります。
    実際ぼくも、レストランで食事の前に軽くソービニヨン・ブランなどをグラスで注文することも多いです。

  • 白ワインは、暖かくて天気のいい日に飲むことも多いと思います。
    白ワインは赤ワインに比べて口当たりも味わいもさわやかで、冷やして飲むことが多いからです。アウトドアで太陽の下で飲むのも最高ですね!

白ワインはたいてい冷やして出しますが、キンキンに冷やしすぎないことが大事です。

たまに白ワインを冷やしすぎで出す飲食店を見かけますが、そのような場合は数分でも時間を置くかグラスを手で温めて、すこし温度を上げてから飲んだほうが美味しいでしょう。

もちろんワインをキンキンに冷やして飲むのが好きならそれでも構いません。
でも、たまには、あなたの好きなワインをほんのちょっとだけ温度高めで飲んでみてください。
きっと、そのワインにはもっと豊かな香りや風味があるんだということに気づくことでしょう。

同じワインでも、いかにその実力を存分に引き出して飲めるようにするかを考えることも、ぼくたちソムリエの仕事のひとつです。

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ぼくたちバイザグラスのワインセミナーでは、ソムリエール犬飼雅恵が、ワインをより美味しく飲むコツなどもお話しています。
ぜひ参加してみてくださいね!

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太陽の光をサンサンと浴びて、よく熟れたブドウがよいブドウです

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ブドウは最も土地の個性(テロワール)を反映する果物なので、
よいブドウを作らないとよいワインができません。

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 ▲5月のまだ未熟なブドウ(山梨・勝沼にて)

それでは、よいブドウとはどのようなブドウでしょうか。

これにはいろいろな観点がありますが、産地や品種を問わず、共通してあげることのできる大切なポイントが一つあります。それは、

よく熟れたブドウがよいブドウです。

よく熟れたブドウとは、よく成熟して果実がとても甘くなった(つまり糖分をたくさん含んだ)ブドウです。
時間をかけて、太陽の光をサンサンとたっぷり浴びたブドウです。

成育期間中に雨や曇りが少なく、ブドウの葉が太陽光をよく吸収して光合成を行うと、よいブドウになるのです。

より長い時間をかければトータルで吸収する日光量は多くなりますから、
木からブドウを摘む時期が遅ければ遅いほど、ブドウの糖分は上がります

たとえば9月1日に摘んだブドウよりも9月15日に摘んだブドウのほうがよく熟れています。
9月15日よりも9月30日に摘んだブドウのほうがよく熟れています。

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時間をかければかけるほどブドウの糖分が増し、酸味が減少していきます。
これが、冷涼な産地のブドウは酸味が高く、温暖な産地のブドウは糖分が高い理由です。

ブドウ栽培に適している土地は、次のような条件を満たす土地です。
  • 気温:10℃~20℃
  • 日照量:1300~1500時間(年間)
  • 降雨量:500~900mm(年間)
寒すぎず、暑すぎず、乾燥した気候がブドウの栽培に適しています。

そして、ブドウはやせた土地を好みます。
そのほうが枝や葉よりも果実のほうに養分が行くのです。
あまり肥沃な土地だと、果実よりも枝や葉のほうに養分が行ってしまいます。

ブドウは本当によく水分を吸収するので、たとえば日本のような高温多湿の土地に植えると、根っこだけでなく木全体が湿気を余計に吸ってしまって、水っぽいブドウになってしまう傾向があります。

ブドウはツル性植物で、他の木などに巻きつき、巻きつく相手と共存します。
同時に、ブドウ同士でライバルと養分を奪い合います。
そのため、ライバルとの競争の少ない地中、地下へと深く伸びていく習性があります。

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栄養分や水分が少ない土地のほうが、競争に勝ち抜こうとする体力のあるブドウになります。

栄養分や水分の豊富なぜいたくな土地で育つよりも、やせた土地で育つほうが、たくましい、よいブドウになるのです。

なんだか人間の成長とよく似ていますね。

ブドウの習性や性質を知ると、ますますブドウに愛着がわき、ますますワインに親しみがわいてきませんか?

そうやってがんばっているブドウたちのことを思い浮かべながらワインを味わうと、ワインの楽しみもひとしおです。

ワインほど楽しいお酒はない! ~ それが私たちバイザグラスの原点です。

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テロワールとは「地味」のこと ~ 「このワインにはテロワールがよく表現されている」というのは、土地の風土や土地の味がワインによく反映されているという意味です

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ひとくちにワインって言っても、このワイン、あのワイン・・・
タイプも味わいもほんとうに多様ですよね。
その大きな理由は、ワインの原料となるブドウの性質の違いにあるのです。

より熟した、甘い(つまり糖分がたくさんの)ブドウほどアルコール度数の高いワインができますが、
そもそもブドウ品種の違いが性質の異なるワインを生み出します。

ワインはブドウ100%でできるお酒ですから、
ワイン生産者は「こんなワインを造りたい」と考えたら、まず
「じゃあこんなブドウを作ろう(使おう)」と考えるわけです。

ブドウ品種ごとのワインの特徴については、そのうち改めて書いてみたいと思っています。

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もちろん、何も無いところにブドウは育ちません。

それぞれのワイン産地の土壌や気候、歴史的背景、ブドウ農家やワイン生産者が目指すワインの理想などが、
その産地で育てられるブドウの種類やワインの味わいの特徴を方向づける要因となります。

だからこそ、ワインについてこんなにもたくさんの情報が、ワインを生産している国や地域や土地や歴史と絡めて、語られているのです。

とくにブドウは、果実の中でも最も土地の風土が反映されやすいフルーツです。

皆さんはテロワールという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

ワイン用語で、テロワールとはブドウ畑を取り巻く自然環境のことを指します。
テロワールには、土壌、気候、地勢などの要素が含まれます。

・土壌
 ・・・水はけの良い砂利質とか、水はけのあまりよくない粘土質など
・気候
 ・・・冷涼な産地は酸味が豊富で軽やかなワインになる傾向、
   温暖な産地は酸味が穏やかで濃厚なワインになる傾向
・地勢
 ・・・畑の向き、傾斜など

「このワインにはテロワールがよく表現されている」と言った場合は、
土地の風土、土地の味がワインによく反映されていることを意味しています。

テロワールとはまさに「地味」(派手の反対語ではなく「土地の味」という意味です)のことなのです。

とくにヨーロッパのワインは新世界(アメリカ、南米、オセアニアなど)のワインよりもテロワールを重視します。そのため、

・ヨーロッパのワイン
 ・・・ラベルに「土地の名前」が書かれている
・新世界のワイン
 ・・・ラベルに「品種の名前」が書かれている

といった違いもあります。

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ヨーロッパのワインは産地の名前しか書かれていないことが多いので、
すこし勉強しないと、ラベルを見ただけではそのワインのブドウ品種はわかりません。

それがワイン、とくにヨーロッパのワインを一見、近寄りがたいものにしてしまっている原因のひとつなんですけどね。。

バイザグラスのお気楽ワインセミナーでは、ワインのラベルの読み方などもお話しています。
ワインの基本を気軽に勉強してみたい!という方は、ぜひ一度参加してみてください。

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ワインを試飲しながら少人数で気軽にワインの基本が学べる、アットホームな「お気楽ワインセミナー」第2弾を開催しました!

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

昨日(26日)のバイザグラス「お気楽ワインセミナー」第2弾は、
参加者の皆さんとのやりとりや、
参加者同士のコミュニケーションも盛り上がり、
とても和やかな雰囲気のセミナーとなりました。

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あいにくの雨模様で肌寒い日曜日でしたが、
参加者の皆さん全員が定刻前に来てくださり、
シャンパーニュで乾杯!
でスタートしました。

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2週間前に開催した第1回目のセミナーのあと、内容や進行に改善点はないか、
当社ソムリエール犬飼雅恵とアイデアを出し合い、練習を繰り返しました。

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ぼくたちの連携もよりスムーズになり、ぼくたち自身もちょっぴり達成感を感じるセミナーとなりました。

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ぼくたちのワインセミナーは、
ただ「美味しかった、楽しかった」だけではなく、
楽しくワインの基本を学ぶことをコンセプトにしています。

ですから、しっかりとワインのお勉強をしていただきます。

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おかげさまで参加者の皆さんには、おおむねご満足いただけた模様です。

▼今回のアンケート自由記入欄コメント
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もちろん、ぼくたちはこれに慢心することはありません。
これからも継続的改善を重ね、参加者の皆さんの満足度がさらに高まるワインセミナーやワインイベントを行なっていきたいと思います。

4月の「お気楽ワインセミナー」は、19日(水)と23日(日)に開催します!

これからもよろしくお願いいたします。

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ワインは土地の個性が出やすいお酒 ~ 酵母のチカラがなければワインはただのブドウジュースです

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

前回お話したように、ワインはブドウ果汁を発酵させてできる液体です。
この発酵という段階がワイン造りのなかで大きな役割を果たしています
発酵がなければワインはできず、ただのブドウジュースとなります。

ワインのアルコール発酵は本来、完全に自然のなせるワザです。

ブドウをステンレスタンクのような容器に入れることと、
ブドウから果汁を得ること以外は、人手の介在をまったく必要としません。

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 ▲発酵用のステンレスタンク(カリフォルニア/ソノマにて)

ブドウに限らず、たとえば牛乳にもブドウとは異なる種類の糖分が含まれているので、
牛乳を2~3日台所にでも放置しておけば、勝手にアルコール発酵が生じて少量のアルコールが発生します。

19世紀に酵母による発酵のメカニズムを解明したのは、ルイ・パストゥールという人です。

これは「発明」ではなくあくまで「発見」ですね。
地球上の酵母たちはルイ・パストゥールが生まれる何万年(何億年?)も前から、身の回りの糖分を食べてアルコールを発生させていたのですから。

ブドウの場合、アルコール発酵のために活躍する酵母はブドウの果皮についています。

こういう自然の酵母を天然酵母といい、
その土地その場所それぞれに住み着いており、
人工的に培養した酵母よりも、その土地独特の味わいが出やすくなります。

アルコール発酵は酒造りの世界では「醸造」と呼ばれ、
醸造して造られるお酒のことを「醸造酒」と呼びます。
身近な醸造酒の代表例は、ワイン、ビール、日本酒です。

醸造酒の公式(アルコール発酵を単純化した図)は下図のようになります。

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酵母が糖分を食べて、排泄物としてアルコールと二酸化炭素を出すのです。
この公式は、ワインだけでなくビールや日本酒でもあてはまります。

ただし、

原料がブドウ → ワイン

であるのに対して、ビールや日本酒は

原料が大麦 → 糖化 → ビール
原料がコメ → 糖化 → 日本酒


というように、糖化という工程を間に入れる必要があります。

ブドウがそれ自体に水分と甘い糖分を含んでいますが、
大麦やコメはそうではないので、水を加えて「甘い液体」にさせるために
糖化というステップが必要になるのです。

この糖化というプロセスがあるために、
ビールや日本酒はワインに比べると土壌の味が出にくいといえます。

逆に言えば、ワインはブドウそのものからシンプルな造り方でできるので、
ワインは土地や土壌の個性が出やすいお酒
になるのです。

ところで、もしもワイン生産者がみんな上記のような自然任せの発酵方法でワインを造っていたとしたら、
ワインなんて、なんの美味さも感動もないどうでもいい飲み物にすぎなかったでしょうし、
ぼくも、ワインのことをわざわざブログに書こうなんていう気にもならなかったことでしょう(笑)

そうです。
世界中のワイン生産者は、美味しいワインを造るために、発酵を上手にコントロールするノウハウやテクニックを持っているのです。
それが、生産者が違えばワインの味わいも違ってくる理由のひとつです。

たとえば、

・ 発酵の工程で用いる容器のタイプを使い分けたり(ステンレス製とか木の樽とか)
・ 容器のサイズを使い分けたり
・ 発酵中のブドウ果汁の温度をコントロールしたり

・・・といった選択次第で、結果的にできるワインの味わいもずいぶん違ったものになります。

発酵させた後でも、生産者は

・ できたワインをどのくらいの期間、熟成させるか
・ その熟成をどのような容器で行うか

といったテクニックの選択が可能です。

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 ▲熟成用の木樽(カリフォルニア/ソノマにて)

3日間発酵させて造るワインもあれば、3ヶ月発酵させて造るワインもあります。
2~3週間熟成させるワインもあれば、数年間熟成させるワインもあります。

どれにするか選んだり、どうするか決めたりすることが苦手なタイプの人は、
ワイン造りには向いていないかもしれませんね(笑)

ぼくたちのワインセミナーでも、いろいろワインのお話をしています。

少人数で気軽にワインの基本が学べるアットホームな
バイザグラスのワインセミナーにもぜひ来てみてください!

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ブドウをつぶして放っておけば勝手にワインになります

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

今日はもっとも基本的なテーマ
「ワインとは何か」
について書いてみます。

ワインは液体です。
その液体の正体は、発酵した果汁です。
要は、果実を発酵させてできた酒(= 果実酒)がワインです。

ワインは広い意味ではあらゆる果実酒を含みます。
リンゴのワインや洋ナシのワインもあります。

とはいえ、世界のワインの99.9%はブドウから造られます。
それは、ブドウがいちばん良いワインができるからです。

だから、ぼくたちが「ワイン」というときは、通常はブドウの果実酒を指します。

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 ▲山梨・勝沼のワイン用ブドウ「甲州」

ブドウをワインにする工程を簡単に言えば、次のようになります。

①ブドウの木から熟したブドウを摘みとる
②そのブドウを容器の中に入れる
③そのブドウをつぶして果汁を得る(昔は足で踏んでつぶした)
④待つ

ワインは、こんなに簡単にできちゃう酒です。
極端な話、
ブドウをつぶして放っておけば勝手にワインになります。

日本酒やビールもワインと同じ醸造酒ですが、
日本酒の原料であるコメやビールの原料である大麦は
それ自体に十分な水分を含まないので仕込み水が必要です。
糖分もそのままでは発酵に使えません(糖化という工程が必要)。

ブドウには発酵に必要な果汁と糖分が十分に含まれるので、
仕込み水も糖化の工程も必要ありません。

古来、水に苦労していたヨーロッパでは、果実に水をためてくれるブドウは貴重な果物として重宝されたそうです。

・ ブドウ以外の原料を必要としない
・ 製法が原理的にシンプル

このシンプルさが、ワインが人類のあけぼのとともに生まれ世界中に広がった理由です。

さて、それではなぜ、ブドウをつぶして放っておけば勝手にワインになるのでしょうか。
それは発酵が起こるからです。
発酵は人が手を加えなくても勝手に起こります。

このときに働くのが酵母です。
酵母はブドウ畑やブドウ果実に自然に存在する、目に見えない単細胞の微生物です。

酵母がブドウ果汁に含まれる糖分に接触し、その糖分を食べて、
徐々にアルコール分に変えていくのです。
これをアルコール発酵といいます。

ちなみにアルコール発酵のとき、酵母は二酸化炭素も同時に空気中に吐き出します。
これを逃さずに瓶詰めしておけばシャンパンのような発泡性ワインになります。

酵母がブドウ果汁中の糖分をすべて食べ終えたとき、
そのブドウ果汁はワインとなります。

果汁中に糖分はもう残っておらず、その代わりにアルコールとなっています。

ここからおわかりのとおり、
ブドウがよく熟して甘いほど、アルコール度数の高いワインができます。

ワインって本当に面白いですね!

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「ワイン好き」の人に語りかけるつもりでワインのことを書き続けたい

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

このブログを読んでくださる人は、きっと

①ワインのことはまだよくわからないけれど、ワインに興味があって、もっと知りたいと思っている人

②ワインにはわりとよく接していてある程度知識もあるけれど、基本からしっかりと理解したい人

③ワインの経験も知識も豊富だけれど、まだ知らないこともたくさんあることを自覚している人

のいずれかだと思います。

①②③の人の共通項は
「ワイン好き」であることです。
「ワイン好き」には、性別も年齢も関係ありません。

ぼくも、そのような「ワイン好き」の人に語りかけるつもりで、このブログを書いています。

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 ▲セブ島でワイン ~ ワインは食事だけでなく、シーンに合わせられるのも楽しい

その日の気分で書くワインのエッセイだけでなく、
ワインについてまだ何も知らない人のために、
ワインのいちばん基本的なこと、
ワインのテキストブック的なことも書いていきます。

ブドウとは何か、ブドウの種類、ワインの種類、
ワインの名前やラベルの読み方、
テイスティングはどうやるか、鼻と口はどこにあるか(・・・これは冗談です)など、

人生の中で
いままで一度もワインを飲んだことのない人にもわかるように
ワインのことを書いていきたいです。


ワインをすでに楽しんでいる人には、ぼくのワインライフの中でのちょっとした気づきや、疑問に思ったこと、ぼくが知らないので誰かに教えてほしいことなども書いてみたいと思います。

書いた文章の数がたくさんたまっていったら、
ワイン好きの皆さんがワインのことについていろいろ検索して読んでくれるような、気軽なワインのリファレンス的なブログになれたらいいなと思っています。

たんに消費されていく情報よりも、ワイン知識のストックになるような内容を目指します。

と、こんなに宣言しちゃって大丈夫かな (汗)
ともかく、続けられるようにがんばります!

よかったら、お気楽ワインセミナーにも会いに来てください。

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ワインのことをすべて知っている人はいません

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ぼくはワインが大好きです。

ワインの色、香り、味わいはもちろんですが、
世界中にびっくりするほどたくさんの種類のワインがあることも、ぼくをワクワクさせてくれます。


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 ▲インドのワイン!

それにワインは、みんなが楽しく、仲良くなれるお酒だと思います。
ワインを飲んでクダ巻いている人って、あまりいないですよね。

だから、ぼくたちバイザグラスは、ひとりでも多くの人たちにワインの楽しみを知ってもらいたいのです。

しかしワインというものが、多くの人にとって、最初はややとっつきにくいものであることも事実です。

とくにワインの種類の多さ、ワイン用語のややこしさ、ワイン独特のしきたりなどが、人々をワインから遠ざけている面があることも否めません。

ブドウ品種の名前、外国の産地の名前・・・。
お店では1000円のワインも5000円のワインも同じにしか見えないかもしれません・・・。

それに、ワインを買って家で飲もうとすると、コルクを抜くために特別な道具(ワインオープナーやソムリエナイフですね)が必要だったりします。

めんどくさそうに見えるワインですが、ワインが決してあなたのことを嫌っているわけではありません(笑)

ワインの世界はとても幅広く、また奥深く、たしかに少々複雑です。

でも、ワインとはどんなものか、そのほんの基礎的な部分を正しく理解して、
いったんワインの世界の中に入ってしまえば、
安くて美味しいワインの選び方もわかるし、ワインをどんどん楽しめるようになります。

あなたが、ぼくたちと同じようにワインに魅力を感じて、ワインと付き合ってみようと決心したならば、
ワインはあなたの生涯の趣味となり一生の友となることは間違いありません。

ぼくらの人生にこんなに彩りを与えてくれるワインというものを、
ぼくたちは、たんなる「めんどくさい酒」にしておきたくない。

ちょっとワインの世界に入ってみると気づくと思いますが、
ワインのことをすべて知っている人などいません。

こんな文章を書いているぼくも、ワインについて知っていることより知らないことのほうが多いのです。

ワインは歴史も長く、種類も気が遠くなるほどたくさんあります。
一生かかっても、世界中のすべてのワインを飲みつくすことなどできません。

バイザグラスのワインセミナー、ウェブサイト、そしてこのブログを通じて、
ひとりでも多くの人にワインの世界に一歩も二歩も足を踏み入れていただき、
より多くの皆さんのワインライフを楽しく快適なものにするお手伝いができたら・・・と願っています。

よろしくお願いします。

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ワインって面白い ~ ブドウ品種は同じでも、国や産地によってずいぶん違ったワインになります

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインをよりよく理解するために、

好きなブドウ品種を決めて、そのブドウから造られたワインをいろいろ飲んでみる

という方法があります。

ぼくは個人的にはピノ・ノワールがいちばん好きです。
淡い色調のエレガントな外観、華やかな香りとチャーミングな酸味が、
ぼくの好みのツボにグッとハマるのです。

つい最近も、こんな熟成したピノ・ノワールを楽しんでみました。



これはフランスのブルゴーニュ地方のサントネイという村のワインです。
色調が若干、レンガ色(オレンジ色)がかって見えます。
ワインが熟成していくと、こうなっていきます。

キノコや土のような複雑な香りが混じり、ドライフルーツのような深みのある甘酸っぱさを感じる味です。

同じブルゴーニュ地方のワインで、収穫年も同じピノ・ノワールでも、こんな色調のワインもあります。

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これはブルゴーニュ地方のジヴリという村のワインです。
まだ赤みの色調が強く、とてもきれいな色ですね。

香りも味わいも、チェリーやベリー系の、チャーミングでキュンとくるような感じです。

もう一つの、同じブルゴーニュ地方のピノ・ノワールはこんな感じです。
収穫年は上の2つと1年しか変わりません。


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これは、ブルゴーニュ地方のポマールという村のワインです。
上の2つに比べると、少々紫色のニュアンスが強いですね。

ポマールは、もともブルゴーニュ地方の中でも男性的な力強いピノ・ノワールができやすい土地です。

その上このワインは1級畑のブドウを使っているので、通常のワインよりも熟成に時間が掛かるのでしょう。

香りも見た目と連動していて、同じチェリーでもややダークなチェリーのニュアンスです。
すこしスパイスのような複雑な香りもします。

味わいも上の2つに比べると、ピノ・ノワールとしては力強い渋み(タンニン)を感じます。

さらに、同じピノ・ノワールでもニュージーランドのワインになると、こうなります。

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これはニュージーランドのクラウディ・ベイというワインです。

1番目のサントネイや2番目のジヴリと比べると、紫の色調が強いですね。
写真ではわかりにくいですが、実際には3番目のポマールに近い色調です。
(こちらはもっと若いワインですが・・・)

こちらはラズベリーやイチゴのような香りで、それもジャムのような印象の香りがあります。
このジャムのような感覚は、上の3つのブルゴーニュワインからはあまり感じられない香りです。

味わいも、上の3つに比べると、果実味がかなり際立って感じられます。

ニュージーランドは非ヨーロッパ産地の中では比較的すずしい気候の国ですが、
それでもフランスのブルゴーニュと比較すると温暖なので、果実の成熟度が高くなり、それがワインの特徴に現れてきます。

いかがでしょうか。

このように、同じブドウ品種であっても、国、地方や村、畑、気候などによって、ずいぶん違ったワインになるのです。

自分の好きなブドウ品種を決めて、それをいろいろ飲み比べてみると、本当にワインが楽しくなってきますよ。

皆さまにも、ぜひオススメします!

バイザグラスのワインセミナーでも、異なる産地の同一品種を飲み比べする企画をやってみたいと思います。

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ワインって、色・香り・味わいから原料や産地が想像できるのが楽しいところですね

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインはブドウ100%で造られるので、原料が大切です。
ワインの品質の9割はブドウで決まるといわれています。

よいブドウを作らないと、よいワインはできません。

ふつうビール会社は大麦畑を持っていないし、
日本酒の酒造会社は田んぼを持っていないけど、
ワイナリーはブドウ畑を持っていますね。

ワイン造りにおいて、いかに原料のブドウが大切かがわかります。

色を見て、香りを感じて、飲んでみると、原料が想像できる
品種とか、産地などが想像できる

これがワインの楽しいところです。


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たとえば、上の写真のようなワインを見ると、
淡い色調をしていますね。
なんとなく、エッジ(液面のふち)がグリーンがかった感じもします。

「淡い、グリーンがかった、レモンイエロー」と表現できますが、

なぜ、そのような外観なのだろう? 
ブドウ品種のせい? 産地のせい? 造り方? ・・・

と想像を働かせていきます。

鼻で香りをとってみると、
芳香性に富み(アロマティック)で、白い花のような香りと、すこし青リンゴのような香りもします。

なぜ、そのような香りなのだろう? 
ブドウ品種のせい? 産地のせい? ・・・

と、また想像を働かせていきます。

口に含んでみると、
けっこう酸味がシャープで、その酸味もグレープフルーツというよりは青リンゴっぽくて、
思ったよりはサラっとしておらず、フレッシュな果実味を強く感じます。

全般として、フレッシュ、フルーティ、フローラルな総合印象の辛口の白ワインです。

そこで、あーなるほどー、
このワインはリースリングというブドウ品種から造られていて、
産地はフランスのアルザス地方だろうなー、と想像できるわけです。

外観と香りに同様の特徴を持っていても、すこし甘みを感じるワインであれば、
同じリースリングでもドイツのものである可能性が高くなります。

こんなふうに、ちょっぴり分析しながらワインを楽しむ習慣をもつと、
ワインのことが、よりよくわかるようになり、ワインの楽しさも深まっていきます。

バイザグラスのワインセミナーでは、
実際にワインを一緒にテイスティングしながら、このようなお話もしています。

ワインを味わって、どう感じたかを、皆で意見交換するのも楽しいですね。

ワインの楽しさを、もっともっと多くの皆さんに伝えていきたいと思っています。

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ワインのテイスティングは芸術ではなく、ワインの特徴を分析的に捉えて言葉に置き換えるロジカルな作業なのです

バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインはともかく飲んで美味しい!と楽しむのがいちばんですよね。

でも、すこし「考えながら飲む」ようになると、ワインがもっとわかるようになり、もっと楽しくなります。

そのために、ぜひ身につけたい技術がワインの「テイスティング」です。

ぼくたちが開催しているバイザグラス「お気楽ワインセミナー」では、
参加者の皆さんと一緒に「テイスティング」の基本動作をしながら、
ワインの基本を学ぶ形式をとっています。


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テイスティングとは、
ワインの特徴を客観的・分析的に捉えて言語に置き換えることです。

ワインが出てくるドラマや漫画の影響でしょうか、
ワインのテイスティングにはキザな表現をしたり、ポエムのような言葉を使ったりする必要があるのではないかと誤解されている方もいらっしゃいます。

しかし、ワインのテイスティングは芸術ではありません
むしろ、ロジカルなものです。

テイスティングでは、五感を使って「考えながら飲む」という作業をします。

まず、ワインを

 ②香り ③

の3要素にばらばらに分解します。

そして、「なぜこのワインが好きなのか」をじっくりと考えてみるのです。

○○のような香りがするから好きなのか。
●●のような味わいがあるから好きなのか。

これが、ワインをより理解するための第一歩です。


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それができたら、今度は
①②③とバラバラに分解したパーツを総合して、
このワインはどんなワインなんだろう」と考えてみます。

すると、ブドウ品種のことや、生産地の場所や土壌や気候のことや、
生産者がどのように考えてこのワインを造ったのか・・・などが、
いろいろと想像できるようになってきます。

もちろん、ここまでできるようになるにはセミナーの時間だけでは足りませんが、
90分のワインセミナーが終了する頃には、
皆さん、自分の好みのワインのタイプとその理由が言えるようになります。

なーんて難しいこと考えずに、ワインは美味しく楽しめばそれでいいと思いますけどね (笑)
でも、ワインは知れば知るほど、ますます面白くなりますよ。

皆さんのワインライフがより充実したものになるよう、応援するブログにしていきたいと思っています。

よろしくお願いします!

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ドイツのバーデン地方の赤ワイン ~ シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)は想像以上に力強かった

今宵はドイツの赤ワイン。
バイザグラスのワインセミナーでそのうち使ってみたいと思い、試し飲みしてみました。
ブドウ品種はシュペートブルグンダー、つまりピノ・ノワール。

ドイツという先入観から、色が淡く酸味が豊かでライトボディな味わいを想像していましたが、グラスに注いでビックリ、飲んでみてさらにビックリ!



色調はピノ・ノワールとしてはやや濃い紫がかったルビー。
味わいはむしろ力強く、果実味が豊かで想像以上にボディがある。ドイツワインなのにアルコール度数なんと13.5%!

かつては中甘口の白ワインが主体だったドイツは、地球温暖化の影響が皮肉にもプラスに働き、近年おいしい辛口ワインの生産が増えています。

そのうえこのワインの産地 Baden バーデンはドイツ最南端の産地で、年間平均気温もドイツで最も高いから、このような力強いピノ・ノワールができるのだなぁ~と妙にナットク。

【関連記事】ドイツで最南端のバーデンとブドウ栽培面積2位のファルツ ~ この2地域はドイツの中では特に温暖な産地で、ドイツの高品質赤ワインの道を切り開きつつあります

まだまだ知らないことばかり・・・ワインって本当に奥が深いですね。

生産者: Schlossgut Ebringen
ブドウ品種: Spätburgunder
収穫年: 2013
産地: Baden バーデン(ドイツ南部)

暖かい季節になったら、バイザグラスのワインセミナーでぜひ取りあげてみたいワインです。

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ワイン初心者向け、ワインの基本が気軽に学べる、ワイン入門「お気楽ワインセミナー」を開催しました!

バイザグラス代表ソムリエの松沢裕之です。

バイザグラスは、


ワインで楽しくコミュニケーション!
ワインを気軽に楽しみながらコミュニケーションしよう!


をコンセプトに、

多くの人たちの出会い、学び、コミュニケーションを、
ワインを気軽に楽しむ機会の提供を通じてお手伝いしていこう
という会社です。

バイザグラス株式会社

そんな私たちの活動の第1弾として、年初から準備を進めていた、

ワイン初心者の方、ワインをもっと知りたい方のための

「お気楽ワインセミナー」

を、3月12日(日) 新宿区四谷で開催しました!
小さな会場は10名のお客様で満席となりました。
アットホームな雰囲気のなかシャンパーニュの乾杯でスタート!

白ワイン2種(ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ)
赤ワイン2種(ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン)

のテイスティングを通じて、
ブドウ品種や産地の特徴を体感していただきました。

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今後さらにセミナー内容をブラッシュアップしていきます。
ワインのテイスティングはもちろんですが、
参加者同士のコミュニケーションの機会もさらに充実させていきます。

次回は、3月26日(日) に

第2弾「お気楽ワインセミナー」

を開催します!

日  時: 2017年3月26日 15時~16時30分(開場14時45分)
場  所: 東京都新宿区四谷2−14−13 マグノリアのカエル
参加費: 5000円(税込)
詳細はコチラ⇒ https://www.bytheglass.jp/seminars

少人数で気軽にワインをゼロから学べるアットホームなワインセミナーに、あなたもぜひ参加してみませんか?

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